第四百五話 空とリーシャの気分転換②
「クウ様! クウ様! とっても美味しいです!」
と、言ってくるのはチーズケーキを食べているリーシャだ。
彼女は空の向かいの席から、空へと続けて言ってくる。
「わたし、ここのケーキをずっと食べてみたかったんです! でも、一人で入る勇気がなくてその――」
「僕でよかったら、いつでも付き合うよ?」
「っ! さすがクウ様です! 尊きお方……」
と、お祈りモードに入るリーシャ。
喜んでもらえたならなによりだ。
それにしても。
と、空は店内を見回しながら思う。
(すごく雰囲気のいい喫茶店だな。木造で、全体的に光源を落としてて……なんというか、かなり落ち着く)
きっとこの喫茶店が日本にあれば、間違いなく雑誌で取り上げられるに違いない。
と、空がそんなことを考えていると。
「あの、クウ様……一つ聞きたいことがあるのですが」
と、もじもじ言ってくるのはリーシャだ。
空はそんな彼女へと言う。
「あ、ケーキのおかわり? うん、いいよ! もう決まってるかな? それなら店員さんを――」
「ち、違います! これ以上食べたら、太ってしまいます!」
「えっと、じゃあ――」
「ソフィア様のことです!」
元魔王ソフィア。
リーシャはどうやら、彼女について何か話があるようだ。




