第四百三話 空は会議に参加してみた
時は会議から五時間後、夜。
場所はリーシャの部屋。
「はぁ……まさかこんなにかかるなんて、思いもしなかったわ」
と、ベッドで突っ伏しているのは胡桃である。
彼女は足をぱたぱたさせながら、誰にともなく続けて言う。
「ドラマとか見て思ってたんだけど、どうして会議って同じことを何回も議題にするのか、ものすごく疑問だわ」
「あはは……仕方ないですよ」
と、言うのはリーシャである。
彼女はクルミへと言葉を続ける。
「今回みたいな件は別だとしても、何回も確認することによって、安心したいんだと思います――これだけ確認したんだから、きっと大丈夫だって」
「それにしても長すぎるんだからね! もう何回『明後日の朝に魔王軍が襲来する』ってフレーズを聞いたかわからないわ!」
「ま、まぁシャーリィ様なんて寝てしまいましたからね」
「シャーリィは寝てない! 目をつむってただけだ!」
と、床にちょこんと座って絵本を見ているシャーリィ。
彼女は尻尾をふりふりリーシャへと言う。
「明後日の朝に、魔王軍と戦うんだ! シャーリィ達は遊撃部隊なんだ! ちゃんと聞いてた!」
どうやらシャーリィ、本当に起きていたようだ。
正直、かなり感心した。
と、空がそんなことを考えていると。
「くーう♪」
なにやらご機嫌な様子で近づいて来るのは、胡桃である。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「ところで空って、明日暇? 暇だったら明日一緒に――」
「あ、ごめん……明日はちょっとリーシャと出掛ける約束があるんだよね」
「ふ、ふーんそう! ま、まぁいいわ! 別にたいした用でもないし! そう……べ、別にたいした用事じゃないんだから……」
なんだろう。
胡桃とリーシャの視線の間で、何かが弾けている気がするのだった。




