第三百九十九話 空は信じてみる③
「そうじゃなくて、魔王の力を手にした人間は、今どうなっているの? っていうか、それは誰?」
「くくく、あやつか……なかなか面白い状況になっているのじゃ」
と、尻尾をふりふりソフィア。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「当然じゃが、あやつには魔王の力がなじまなかったのじゃ。故に魔王の力が暴走、二重人格のようになっているのじゃ……まったく、これだから人間は嫌なのじゃ」
「それで、その人の名前は?」
「ふん、人間の名前なんかいちいち覚えていないのじゃ! じゃが、うぬの名前は覚えたのじゃ! クーじゃ! 将来の我が右腕じゃ! あー、それと……」
と、そこでシャーリィに視線を向けるソフィア。
彼女はシャーリィへと続けて言う。
「狐のよしみじゃ。我が魔王に返り咲いた暁には、うぬを秘書として使ってやるのじゃ」
「シャーリィはそんなの興味ない!」
「き、興味ないじゃと!? なんでじゃ! 魔王の秘書じゃぞ!」
「シャーリィはクーにしか興味がないんだ!」
「な、なんという狐じゃ! 人間に尻尾を振るなど、獣人として恥ずかしくないのか!」
「シャーリィは見た! ソフィアもさっき、クーに頭を撫でられて尻尾ふってた!」
「ふ、ふってないわい!」
「振ってた! シャーリィは見たんだ!」
と、言い合いを始めるソフィアとシャーリィ。
お互い、いい友達が出来たようで何よりだ。
空はそんな彼女達を見ながら、とあることを思う。
それは。
(これ、今度リーシャに会った時に、相談した方がいいよね。まぁそれはともかく、ソフィアは居場所がないみたいだし……とりあえずシャーリィの家で預かってもらった方がいいよね)
問題はシャーリィが預かってくれるかだが。
この調子を見る限り、問題ないに違いない。




