第三百九十二話 空とシャーリィは狐を助けてみる②
「うぬらは、この我が誰だかわかっているのか!?」
と、言ってくるのは銀狐娘だ。
空はそんな彼女へと言う。
「というか、僕達はきみの名前も知らないんだけど」
「自己紹介がまだだ! ちなみにシャーリィはシャーリィだ!」
と、空に続いて言うのはシャーリィである。
空もそんな彼女に見習って、銀色狐娘へと言う。
「僕の名前は日向空、よろしくお願いします」
「む……なんじゃこの手は!」
「え、握手だけど?」
「くくく……なるほど、上位種たる我に触れたいわけか。よかろう、我を助けてくれた褒美じゃ!」
と、銀色狐の少女は空の手を掴んで来る。
そして、そんな彼女は彼へとさらに言葉を続けてくる。
「よーく聞くがいい、そして驚け! 我の名はソフィアじゃ!」
「…………」
「…………」
「…………」
「どうして驚かないのじゃ!」
「え」
どうしてと言われても、逆に聞きたい。
どうして名前を言われただけで、驚かないといけないのか。
(ひょっとして、こっちの世界だと有名人だったりするのかな?)
空はそんなことを考えたのち、シャーリィの方をチラリと見る。
けれど、彼女も知らない様子だ。
故に空は銀色狐娘へと言う。
「えっと……よかったら教えて欲しいんですけど」
「な、なんじゃと!? 本当に我を知らないのか!?」
と、ぷるぷるし始める少女。
彼女テーブルをバンバン叩きながら、空へと言ってくるのだった。
「我は世界を恐怖に染める存在――魔王ソフィアじゃぞ!」




