第三百八十七話 時雨はお話してみる②
「唯花さんはまだ学校の生活に慣れていないんです。これから、徐々に慣れていけば大丈夫です。そのために、わたし達がついているんですから」
「あんた、やっぱり空と一緒で優しい……とってもあたたかい」
と、薄っすらと笑ってくれる唯花。
時雨はそんな彼女へと言う。
「兄さんと一緒、ですか。なかなか嬉しいことを言ってくれますね」
「……ひょっとして、あんたってブラコン?」
「なっ!?」
これは思ってもみないカウンターパンチである。
時雨はなるべく平常心を保ちながら、唯花へと言葉を続ける。
「わ、わたしはブラコンなんかじゃありませんよ! に、兄さんと一緒に寝るのだって、中学で卒業しましたからね! え、えぇそうですとも! むしろ、兄さんのことなんて、どうでもよくなくなくはないと思ってますよ!」
「…………」
「な、なんですかその目は!」
「私も姉さんが好き……時雨も空が好き……それで大丈夫だよ?」
「ぐ――わ、わたしを魔境に誘うのはやめてください!」
「姉妹同士はあり……兄妹同士もあり」
「ありってどういうことですか!? なにがありなんですか! 犯罪ですよそれは!」
「?」
と、ひょこり首を傾げている唯花。
彼女は不思議そうな顔で言ってくるのだった。
「仲良くすることはいいこと……そう思っただけ」




