第三百七十九話 空はシャーリィの家にお邪魔してみる②
「マリィ! ちゃんと挨拶しないとダメだ! クーが困ってる!」
と、聞こえてくるシャーリィの声。
すると、絶賛空の足にくっついているミニ狐――マリィは。
「や! マリィはくぅといっしょがいい!」
と、そんなことを言ってくる。
マリィはきゅっと腕に力を入れてくると、そのままシャーリィへと言う。
「おねぇばっかりいつもずるい! マリィもくぅの匂いかぎたい!」
「マリィはわがままだ! クーはお客さんだ! ちゃんとおもてなししないと、母さんにも怒られる!」
「や!」
「や、じゃない!」
と、シャーリィはマリィを抱っこ。
強制的に空から引っぺがしていく。
その間、マリィはびちびちと、尻尾を振りまくって抵抗していたが、シャーリィはそんなの気にしないに違いない。
彼女は空にマリィを見せながら、言ってくる。
「シャーリィの妹のマリィだ!」
「う、うん……なんとなくわかった」
「クーすごい! どうしてわかったんだ!?」
「え……」
どうしてって。
そんなの見た目だけじゃなく、行動と言動もそっくりだからだ。
しかし。
「?」
と、どうやら本当にわかっていない様子のシャーリィ。
そこで空は思う。
(さっきも、マリィのことを注意してたし。ひょっとしてシャーリィ……家だと頑張って真面目な感じで振る舞っているのかな?)
だとしたら、マリィの前でマリィとの共通点を上げない方がいいに違いない。
それにしても――。
(マリィがこういう感じってことは、シャーリィのお母さんもこういう感じなのかな?)
空はふと、そんなことが気になるのだった。




