第三百七十七話 空は狐のお宿に向かってみる②
『シャーリィの妹は、シャーリィをちっちゃくした感じだ!』
そんなシャーリィの言葉を聞いてから、十数分後。
空は狐娘族の村へと到着していた。
狐娘族は人間が嫌いとのことで、それなりに緊張していたのだが。
結論から言うと、その緊張は無駄だった。
なぜならば。
「これがよく話しているクーだ! とっても優しいんだ!」
と、シャーリィが言った直後。
最初は胡散臭そうなものを見る、狐娘族達の目がかわった。
彼女達はわらわら空とシャーリィに近づいて来ると。
「シャーリィちゃんを助けてくれたんだって?」
「奴隷身分の種族と、こんなフレンドリーに接してくれる子は初めてだよ!」
「ダンジョンの話は聞いたわ! あなた、とってもすごいのね!」
「二人はいつ結婚するの?」
「人間は嫌いだったけど、いい人間もいるのね」
などなど。
四方八方から爆熱歓待を受けた。
それにしても――。
もふもふ。
もふもふもふ。
ゆっさゆさ。
ゆっさゆさゆさ。
狐娘族。
圧倒的なモフリティである。
(うっ……視界がモフに覆われて――)
狐娘族のモフは空のモフ許容値を、確実に越えている。
と、空がそんなことを考えたその時。
「クー! そろそろシャーリィの家に案内する! お土産を渡すなら今だ!」
と、言ってくるシャーリィ。
空はそれを聞くと同時、思い至るのだった。
(この状況から抜け出すには、ポテトチップスで興味を逸らすしかない! まさかポテトチップスの使い方が、こんなことになるなんて!)




