第三百七十五話 空と狐のお泊り会②
(そういえば、僕は大丈夫とかも以前言ってたけど、それでかな? 種族的な関係に目を瞑るくらい、僕の好感度あげるとか……シャーリィはどんな話してるんだろう)
と、空がそんなことを考えていると。
「クー! 時間がもったいない! 早く行こう!」
くいくい袖を引っ張ってくるシャーリィ。
どうやら、彼女は今日をよほど楽しみにしていたに違いない。
(ここまで楽しみにされると、なんだかいい気分というか……)
だが、このまますぐにシャーリィの家に向かうわけにはいかない。
故に、空は彼女へと言う。
「ちょっと待って、そのまえに買い物させてくれないかな?」
「買い物?」
「うん。シャーリィって妹が居るんだよね? お土産買った方がいいかなって……それに他の狐娘族の人達にも何かあった方がいいかなって思って」
「お土産は大丈夫だ! それより早く行こう! シャーリィはクーと、少しでも長くお泊りしたいんだ!」
ぐいぐい。
ぐいぐいぐい。
シャーリィ、思いのほかわがままである。
これは空の予想を超えて、空とのお泊り会が楽しみに違いない。
(うーん、どうやって説得しようかな)
さすがに手ぶらで、向かうわけには行かない。
空はお世話にならせてもらう側なのだから。
「クー! 早くしないと時間がなくなる!」
と、今度は空の後ろに回り込み、ぐいぐい押してくるシャーリィ。
この後、空がシャーリィを説得するのに、数分を要するのだった。




