第三百六十四話 空とノインに話してみた②
「ひょっとしてあんた……姉さんを洗脳して、奴隷にしてる?」
と、言ってくるノイン。
どう考えても、話がおかしな方向に進んでいる。
これは早々にノインの誤解を解いた方がいいに違いない。
故に空は彼女へと言う。
「いやいやいや、僕の異能は《道具箱》っていう、異次元に物を収納できる異能なんだよ! だから、胡桃を洗脳なんてしてないって!」
「…………」
ジリジリ後退するノイン。
彼女は完全に追い詰められた子猫と言った様子だ。
(これ、どうしよう……もう異世界のこと話した方が早いよね)
先ほど、空はなるべく話さないほうが円滑だと考えた。
しかし、話さないことで人間関係崩壊するくらいなら、話した方がましだ。
「はぁ……わかった。全部話すよ」
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そして、それから数分後。
「異世界……信じられない。でも……それなら姉さんが、あんたの奴隷になったのも納得できる」
と、言ってくるノイン。
彼女は続けて空へと言ってくる。
「その異世界……私もいける?」
「行けるけど、おすすめはしないよ。僕の奴隷にならないと行けないし、行ったところでレベルの概念を得られるわけでもない」
「…………」
と、なにやら考え込む様子のノイン。
その後、彼女は言ってくるのだった。
「決めた……異世界、行ってみたい。私をあんたの奴隷にして……お願い」




