第三百四十二話 空達は仕切りなおしてみる
時はあれから数十分後。
待機していたヒーロー達に老人は保護されていった。
現在、空達は遅れを取り戻すべく怪人島を再び進んでいるのだが。
「「「「…………」」」」
全員黙り込んでいる。
厳密に言うと、たまに誰かしらのため息が聞こえてくるくらいだ。
まぁ空としても気持ちはわかる。
現に、空も先ほどから考え込んでいるせいで、黙ってしまっているのだから。
けれど、いつまでもこのままでいいわけがない。
「よし! みんな切り替えよう!」
空はパンっと手を鳴らす。
同時、みんなはビクッとするが、気にせず言葉を続ける。
「さっきの話が衝撃的なのはわかるけど、今は任務中なんだからしっかりしないと。それに、もしもあの人みたいな存在が、この島にもう一人居るなら――」
「あたし達が助けないと……そう、よね」
「本来わたしが言うべき言葉を、兄さんに言われてしまいましたか……反省です」
「さすがは班長。ヘタレなところも好きだけれど、今みたいなところも好きよぉ」
と、空の言葉にそれぞれ反応するのは胡桃、時雨、氷菓である。
中でも胡桃は、先ほどまでの元気のなさが嘘かの様に空へと言ってくる。
「空! 全力で進んで、全力で助けるんだからね!」
「わかってるよ。予想外の出来事があって、他のチームより進行が遅れてるだろうし、少し早めに行くけど大丈夫?」
「当たり前よ! このあたしを舐めないで!」
とツンツンしている胡桃。
そんな彼女に元気づけられたに違いない――他の仲間達からも、見てわかる程に暗さが消え失せていたのだった。




