第三百二十七話 怪人の姫君
時は空達がミーティングを終える数時間前。
場所は件の離島――その中心部、地下にあるプラント。
「おい、知ってるか? 近いうちに、ヒーローチームがここにやってくるみたいだぜ」
「だ、誰情報だよ……ひひ、まぁ仮に来ても餌になるのがいいところ、だ、だよな」
と、プラントにある培養ポッドの前で会話をしているのは、二人の怪人である。
彼らの会話は更に続く。
「我等の王がノイン様に命令しているのを聞いたんだよ」
「ほ、本当かよ……と、というか、ノイン様ってなんだよ……ひひ、あんな半端者に様づけとか、だ、だだ、ダサいんだよ」
「あぁ?」
「な、なな、なんだよ」
「半端者でも俺達より強いんだから仕方ねぇだろうが! それよりてめぇ、今俺をバカにしたな?」
「ば、ば、バカをバカにして、ななな、何が悪いんだよ……ひひ」
「…………」
「…………」
と、途端に二人の怪人の空気は険悪になる。
怪人は好戦的故、このまま殺し合いに発展してもおかしくない空気だ。
けれど。
「……やめて」
と、聞こえてくる少女の声。
その声に、二人は凍り付いたように止まるのだった。




