第三百二十六話 空とミーティング②
「では最後に、要点だけもう一度説明させてもらうよ」
現在の時はアラームが鳴ってから数分後。
喋っているのは、ヒーロー協会で空達を担当してくれた初老の男性である。
もっとも、彼は時雨が設置した機械から映し出されている立体映像だが。
「今から二日後、時刻は七時ちょうど。君たち選抜ヒーローチームは、事前に組んだフォーマンセルのチームで、離島を制圧してもらうことになる――なお、参加チーム数は急造の天使班含め八チームとなる」
と、ゆっくりハキハキ説明していく初老の男性。
彼はなおも言葉を続けてくる。
「上陸は揚陸艇を使って、それぞれ島の八方向に分かれて行ってもらう。要するに、ネズミを追い込むように、怪人を一網打尽にするということだ……ここまでで何か質問は?」
言うと、初老の男性はしばらく言葉を途切れさせ後。
「よろしい……では、当日のキミたちの活躍を期待しているよ。言うまでもないと思うが、これは史上最大の作戦と言っても過言ではない――この作戦に成功するか否かが、今後の怪人の出現数に直結するのだからね」
以降、事務的なことを言った後、立体映像に通信が途切れる。
途端に実感がわいて来る。
(僕達の頑張り次第で、一般人の方々の生活が左右されるんだ……)
凄まじい重責。
失敗など論外だ。
これこそがヒーロー。
「空、あんまり緊張しなくても大丈夫なんだからね!」
と、言ってくるのは胡桃である。
空はよほど感情が表情に出ていたに違いない。
彼女は笑顔で、空へと続けてくるのだった。
「どんなことがあっても、あたしと空なら大丈夫なんだから! つまり、あたしと空が参加する時点で、すでに任務は成功したようなものなんだからね!」




