第三百十九話 空と断空は何を斬る?
時はスライム斬れない事件から数分後。
あれからも空は様々な物に《断空》を使いまくった。
結果。
剣技 《断空》は何一つ斬ることが出来なかった。
この《断空》は斬れない物を斬るどころか、斬れるものすら斬れない地雷技能だった。
さて、となると一つ疑問がある。
「あのさリーシャ、この技能っていくらしたの?」
「お値段ですか? えっと……」
と、うんうん悩んでいるリーシャ。
別に値段を聞いてどうなるというわけではない。
しかし、空としてはこの胡散臭い技能について、少しでも理解を深めたいのである。
というのも。
(この技能、詐欺だったんじゃないかな……)
剣技 《七閃》は無事に使うことが出来た。
けれど、本当に使えるものに混ぜて、使えない物を高値で売りつける。
それは日本の詐欺でも普通に行われることだ。
(考えたくないけど、リーシャは有名人だ。そんなリーシャからお金を沢山だまし取ってやろうって、ゴミスキルを売りつけられた可能性がある)
なんせ、この剣技 《断空》はリーシャが選んだだけではない。
エクセリオンの王が、彼女を通して空へ買い与えてくれたものなのだ。
金を取るために騙す相手としては、十分すぎるに違いない。
では、気になる《断空》のお値段はというと。
「しっかりと覚えていないんですけど……そうですね」
と、リーシャはやや困った顔ながらも、しっかりと口にするのだった。
「大きなお屋敷が四軒ほどたつくらいでしょうか」