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第三百十八話 空はさっそく試してみる③
「クウ様!」
「クウ!」
と、聞こえてくるリーシャとシャーリィの声。
空の放った斬撃は、スライムの火を微塵も斬ってはいない。
「っ!?」
空は反射的にスライムの火を躱し、一度距離を取る。
そして、彼は再び剣を構え直すと、再度スライムへと駆けだす。
(火が斬れない!? 《断空》の能力を読み違えた……だったら、これを魔物に使ったらどうなるかだ)
ただ単に斬りづらいものを斬る技能。
そう考えると、有用性はやや落ちる。
けれど、まったく使えないというわけではない。
例えば霧状の魔物や怪人が現れた時だ。
そういうときには、この《断空》が使える違いない。
(さぁ、結果は!)
と、空はスライムに渾身の一撃を放つ。
無論、今回は渾身の手加減ではない――本当に倒す気で放った。
「…………」
スライムはぴょんぴょん跳ねていた。
それどころか、空に今もボーボー火を吹いている。
「…………」
熱くはない。
けれど、空の頭は何故か激しい痛みを訴えるのだった。




