317/612
第三百十七話 空はさっそく試してみる②
「じゃあ、試してくるね」
と、空は火吹きスライムの方へと駆けだしていく。
レベル5の力は凄まじく、猛烈な速さで空とスライムの距離は縮まっていき。
(入った、間合いだ!)
…………。
………………。
……………………。
しかし、スライムはなかなか攻撃してこなかった。
空が早すぎたのだ。
「えっと……」
空はスライムの前でびたりと静止し、数秒間そのままで居続ける。
完全に気勢をそがれた形だ。
だがしかし。
「っ!」
ついにスライムに変化が訪れる。
スライムが身体をぴくぴく振動させ始めたのだ。
次の瞬間。
ゴォッ!
噴出したのはスライムの身体に見合わぬ大きな炎。
狙うならばここしかない。
「剣技 《断空》!」
決して力を込めず、緩やかに。
赤ん坊でも避けられるような速度で放たれたその一撃。
「クウ様!」
「クウ!」
と、聞こえてくるリーシャとシャーリィの声。
結論から言うと――空の一撃は何一つ斬ることはできなかったのだった




