第三百十六話 空はさっそく試してみる
時はリーシャのお祈りと、シャーリィのわがままを何とか中断させた数分後。
現在、空は絶賛先ほどの魔法 《サーチ》を試していた。
結果はというと。
「さすがです、クウ様! 魔物の種類もピッタリです!」
「こんな遠くの魔物を見つけられるなんて、クーも狐娘族みたいだ!」
そんなリーシャとシャーリィの言う通りである。
今、空の目の前に居るのは口から炎を噴き出すスライムーー火吹きスライムである。
(うん、これで《サーチ》は問題なく機能することがわかった。となると、試すべきはもう一つ)
剣技 《断空》。
その効果を確かめる。
これこそが、以前言った『とあることを試す』の内容である。
さて、《断空》の能力だが。
●剣技《断空》
斬れないものを斬る。
やはりよくわかない。
けれど。
(なんとなくならわかる。僕の予想だと、霞とか剣で斬れないものを斬ったりする技能だと思うんだよね)
そこで、空が実験相手に選んだのが、あそこで火を吹いているスライムである。
常識だが、火を剣で斬ることはできない。
火に全力で剣を振えば、かき消すことはできるに違ない。
けれど、それは斬ったとはいわない。
(判断が難しいけど、《断空》を使った状態で、超ゆっくり火を斬ってみれば確かめられるはず)
まぁ、ぐだぐだ言っている前にやれば全てわかる。
空はシャーリィとリーシャに、ここで待っていて欲しい旨を伝えたのち。
「じゃあ、試してくるね」
魔法 《ブラックスミス》で片手剣を作り出す。
そして、スライムの方へと駆けだしていくのだった。




