第三百十五話 空とお使い②
「どうですか、クウ様? 満足していただけると、嬉しいのですが……」
「シャーリィとリーシャが選んだんだから、絶対に問題ない!」
と、言ってくるリーシャとシャーリィ。
では実際どうなのかというと――。
「うん、問題ないよ。二人ともありがとう……っていうか、仮に問題あっても怒るようなことはしないよ。頼んだのはこっちなんだし」
二人が買ってきてくれたの技能書。
それは。
●魔法 《サーチ》
使用者は周囲にある全ての物の位置関係を、瞬時に理解することができる。効果範囲と持続時間は、込めた魔力に比例する。
要するに、この技能は探索スキル。
より簡潔に言うのなら、レーダーとかマップみたいなものだ。
「でもクウ様、どうしてこの技能が必要だったんですか?」
「そうだ! 探索ならシャーリィが居るから大丈夫だ!」
と、言ってくるリーシャとシャーリィ。
中でも後者のシャーリィの言葉はもっともだ。
シャーリィはデフォルトで、この《サーチ》を常時オンにしてるようなものだ。
しかも、魔力などの対価も必要としない。
デメリットとすれば、臭い場所やうるさい場所が苦手といったくらいか。
おまけに、シャーリィは常に空と行動をともにしてくれる。
よって、シャーリィのその能力は、実質空も使えるといっても過言ではない。
では、どうしてこの技能を買ったのかというと、前述した通り――。
「僕の世界でちょっと大きな作戦があるんだ。その時に、さすがにシャーリィを連れて行くわけにはいかないからね。例えシャーリィの劣化版だろうと、僕自身でできる探索技能が必要かなって――向こうの友達を見てて思ったんだ」
「なるほど、そういうことだったのですね……さすがはクウ様、その先を見据えた考え、尊敬いたします」
「シャーリィもその作戦やりたい! シャーリィが居れば全部解決だ!」
と、言ってくるのはお祈りリーシャと、尻尾おっ立てシャーリィ。
空はそんな二人に苦笑いするしかないのであった。




