第三百十四話 空とお使い
何故かお姉さんが怒っていた事件から数分後。
現在、空たちは街の外にある平原へとやってきいた。
ここでの目的は一つ――。
「クウ様、この度はわたしも誘っていただき感謝いたします」
と、空の考えを断ち切る様に聞こえてくるのは、リーシャの声である。
彼女は空の前に跪き、いつものお祈りポーズをとってくる。
空はそんな彼女へと言う。
「いや、リーシャを誘うのは当たり前だよ。むしろ、なんだかごめんね。忙しい時に、エクセリオンを離れるような誘いをしちゃって」
「そんなことありません! クウ様と一緒でしたら安全ですし、たまには外に出た方が息抜きにもなります!」
「うん、だったらよかった」
「あ、あの! そういえば、これを」
と、服の内側をごしょごしょリーシャ。
彼女は空へと一つの巻物を渡してきながら、言葉を続けてくる。
「クウ様に頼まれた通り、技能書を買ってまいりました!」
「お店に案内したのはシャーリィだ!」
と、リーシャに続いて言ってくるシャーリィ。
実は空が冒険者ギルドで手続きしている間に、二人にお使いを頼んでいたのだ。
というのも、リーシャはこの街に来るのが初めてである。
それならば、ギルドでみんなで待っているより、良い時間の使い方がある。
それがお使いがてら、シャーリィにリーシャの街の案内をしてもらうというものだ。
さてさて、少し話は逸れたが。
空が異世界にきたそもそもの理由。
それは件の特殊任務に備え、新たなる技能を手に入れること。
そして、この平原に来た理由。
それはその新たなる技能を使った後、とあることを試すからだ。
では、その技能とは――。




