第二百九十六話 空と天使班とムカデ駆除
「っ!」
空達の周囲から次々に這いだしてくる怪人。
しかも。
ピキピキ。
パキパキ。
聞こえてくるそんな音。
空がそちらの方見たまさにその時。
パリンッ!
なんと、氷菓が先ほど凍らせたムカデ怪人までもが動き出す。
しかも、奴らは口をもごもご動かすと、まるで唾を飛ばすかのように頭を――。
「胡桃! 《イージス》を僕達の周囲に! 今すぐ!」
「え、あっ!?」
と、パニックに陥りながらも、しっかり仕事をこなしてくれる胡桃。
その直後。
ムカデ怪人たちの口から放たれたのは、薄茶色の粘液である。
それは胡桃が張った《イージス》にあたると。
「なっ!? あたしの盾が石に……っていうかこれ、少しマズい気がするんだからね!」
たしかに胡桃の言う通りだ。
こうしている間にも胡桃の盾は、どんどん石化部位を増やしている。
もはや彼女の盾は不可視とはいえないほどだ。
(でも問題はそこじゃない……多分これ)
と、空が考えた直後。
ついに真の問題が訪れる。
バリンッ!
と、先ほどと似たような音。
けれど、今度聞こえたのは氷が砕けた音ではない。
石化した胡桃の盾が、怪人の攻撃で砕けた音である。
(やっぱりそうか。石化した《イージス》の強度はかなり下がるんだ)
「っ――この!」
と、胡桃はすぐさま《イージス》を張りなおそうとしている。
けれど、もう間に合わない。
ムカデ怪人たちは、四方八方。
空達へ向けて石化粘液を飛ばしてくるのだった。




