第二百八十八話 空と天使班の作戦会議②
「興味深いですね……いったい梓さんはどうやって索敵するつもりですか?」
と、いつも通りのジトっとした視線の時雨。
彼女は胡桃へと言葉を続ける。
「まさか単身ビルに潜入するとか――」
「あたしがビルに潜入するに決まってるんだからね!」
「いや、見つかりますよ……無理ですよ、やめてください」
「あたしは天才だからなんでもできるの! それに見つかったら、全員返り討ちにすればいいだけじゃない!」
「はぁ……そうですね、でもそれは索敵とは言いませんよ」
わーわー。
きゃーきゃー。
緊張感があるのやら、ないのやら。
まぁ緊張しすぎるよりはいいに違いない。
と、その時。
「二十一人」
ボソッと、氷菓が呟く。
彼女は胡桃と時雨が静かになったのを見計らったのか、再度言葉を続ける。
「男が十五人、女が六人。鉄パイプがまとめておかれているから、これを武器に使っている可能性があるかしらぁ」
「氷菓さん……まさかとは思いますけど、それは廃ビルの中の状況を言っているんですか?」
と、当然の質問を投げかける時雨。
氷菓はそんな彼女に頷いたのち、空達へ続けて言ってくるのだった。
「でも妙ね……この人たち、まったく動かないわぁ」




