第二百七十五話 空と猫氷菓②
「にゃんにゃん……次はご主人様のお腹とお胸にマーキングするにゃん♪」
と、言ってくるのは空の身体に跨った氷菓。
彼女はそこから先、語るも恐ろしいピンク色行為をしてきたのだが……。
空の精神衛生上、それを説明するのは省略。
時は少し進んで、氷菓による空の胴体攻めから数分後。
結論から言うと、空の精神衛生は変わらずピンチだった。
「ちょっ! もう勘弁してくださいよ! 氷菓さん! 氷菓さんってば!」
「氷菓じゃないにゃん♪ 猫氷菓だにゃん♪」
と、ノリノリな氷菓。
彼女は怪しい様子の舌なめずりしたのち、空の顔へだんだん顔を近づけてくる。
いったい何をする気なのか。
いや、空にだってそんな事はわかっている。
この状況ですることなど一つしかない。
けれど、氷菓は本気なのか。
いつも通りからかっているだけの可能性は、まだ十分以上にある。
しかし、仮に本気だったらこれ以上はもうやばい。
「あーもう、氷菓さん……ごめんなさい!」
「なにを言って――」
と、氷菓が最後まで言い切る前に、空は身体に力を入れる。
その直後。
「!?」
明確な驚きの色を浮かべる氷菓。
その理由は、空が氷の拘束をいとも容易く破ったからに違いない。
空はすぐさま氷菓の股下から抜け出し、安全圏へと離脱する。
レベルの力を使えば、この程度のことは容易にできるのだ。
では、なぜ今までこれをしなかったかというと。
「わ、きゃっ!?」
と、空が抜けたことで、すってんころりんする氷菓。
彼女は頭を抑えながら起き上がると、恨めしげな表情で空へと言ってくるのだった。
「おまえ、やってくれたわね……この私に恥をかかせるなんて」




