第二百七十話 空と天使班と作戦会議
受ける任務を決めてから数時間後。
時刻は昼前。
現在、空達は養成学校から少し離れた駅に居た。
「では、これより作戦会議を始めます」
と、言ってくるのは時雨である。
空が班長ではあるのだが、ここはヒーローである時雨に任させてもらった。
さて、そんな彼女は続けて言ってくる。
「知っての通り、今回は迷い猫の捜索です。なので、担当ヒーローであるわたしと行動する意味は、特にありません……なにが言いたいかわかりますか?」
「えっと……つまり、時雨がいいたいのは四人バラバラに行動した方が言ってことかな?」
「さすが兄さん、ですがおしいです。今回の場合だと、二人一組くらいが適正人数かと思います……一人では気がつけないことも二人ならということがあります」
時雨は「それに」と言葉を一旦区切った後、さらに言ってくる。
「これは経験上ですが、一人だと焦り出した時に、どうしようもなくなってしまうんです」
たしかにそれはそうだ。
例えば、家で探し物をする時などがまさにそれだ。
なかなか見つからない時、相談する相手がいれば心は大分落ち着くに違いない。
「班分けはそうですね。実力から考えて、兄さんは胡桃さんと――」
「私は空と組むわぁ」
と、時雨の言葉を遮る氷菓。
彼女は空の腕引っ掴んでくると、時雨へと言う。
「おまえ、言っていたじゃない。今回は担当ヒーローのいらない猫の捜索だって。だったら、別に実力は関係わよねぇ? 好きなものと組む……それでいいじゃない」
その後も口八丁手八丁。
気がつけば、空は氷菓と行動を共にするこになったのだった。




