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レベルの概念があるのは僕だけなので、最強無敵の英雄になってみる  作者: アカバコウヨウ
少女と英雄の章

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第二十七話 空と妹と狐娘

「で、紹介が遅れたけど……こっちが度々話に出てたシャーリィ。狐娘族で僕の大切な仲間――」


「違うぞ! シャーリィはクーの奴隷だ!」


 と、言ってくるのはシャーリィである。

 彼女は空へ抱き着きながら言ってくる。


「どうしてクーはシャーリィが奴隷だってことを隠すんだ! さっきの話の時も、シャーリィがクーの奴隷だっていうことを、全部隠してた! シャーリィは悲しい!」


「ほーう……奴隷ですか」


 と、言ってくるのは時雨である。

 彼女は凄まじい眼力を伴うジト目で、空へと言ってくる。


「女性を奴隷に……いったいナニをする気なんですかね。はぁ……妹として心配になりますよ。まさか兄さんにそんな趣味があったなんて」


 時雨は「あ~嫌です嫌です……」と、かなり冷たいオーラを放っている。

 これは早急に話を変えた方がいいに違いない。


 と、そう考えた空。

 彼は時雨へと手をやりながら、シャーリィへと言う。


「そ、それでこっちが時雨。僕の――」


「妹だ! クーが帰ってくる間に、シグレから色々聞いたぞ! シャーリィとシグレは仲良しになったんだ!」


「別に……そこまで仲良しじゃないですよ」


 と、シャーリィの言葉にたいし、やや照れた様子の時雨。

 空以外にそっけない時雨にしては、かなり珍しい反応だ。

 現に――。


「どうしてそういうことを言うんだ! シャーリィとシグレは仲良しだ!」


「は、はなしてください! あっ……だ、抱き着かないで!」


 と、シャーリィの言葉と行動に対し、そんなことを言う時雨。

 しかし、彼女は口で放せと言っているが、実際はされるがままになっている。


(時雨は僕以外と、あんまり仲良くなろうとしないからな……いい機会になるかも)


 空はそう考えたところで、時雨の自己紹介が途中だったことを思い出す。


「さっきの続きなんだけど、時雨はシャーリィが言う通り僕の妹なんだ。学年は僕の一個下の後輩になる……でも」


 と、空はそこで話をいったん区切った後、シャーリィへと続ける。


「時雨は特例でもうプロヒーローとして活動してるんだ」


「プロヒーロー! クーが前言っていたやつだな!」


 と、時雨を抱いたままのシャーリィ。

 彼女は空へと続けて言ってくる。


「今のうちからプロヒーローとして活動することって、そんなに特別なのか?」


「うん、特別だよ。プロヒーローになるには本来、ヒーロー養成学校を卒業して資格をとってから、警察や自衛隊――ファルネールでいう騎士にならないとダメなんだ」


「騎士! シグレはその歳で騎士なのか!? 騎士は才能がある前提ですごい訓練をしないとなれないんだ! 騎士になれるのは、若くても三十歳すぎって言われるぞ!」


 何やら納得した様子のシャーリィ。

 なんとなく例にした『騎士』だが、いい例えだったに違いない。

 空はシャーリィへと更に続ける。


「しかも、シグレはたくさんいるプロヒーローたちの中で、最強の存在なんだ」


「最強! シグレも言ってた! 最強のヒーローで、最強の異能 《ふろびでやんす》って!」


「最強の異能 《プロヴィデンス》ね……」


「それだ!」


 シグレの異能 《プロヴィデンス》。

 それは空の異能とはレベルの違う、まさに最強の異能だ。


 光の粒子を作り出し、それを意のままに操る――攻撃、防御ともに最高の力。

 そして、それを完全に操作するシグレの技能はまさに。


「最強のヒーロー……白銀ヒーロー『エンジェル』って名前で活動している時雨は、本当に僕の誇り――」


「ちょっ!」


 と、時雨は突如シャーリィホールドから脱出。

 彼女は空の肩を掴み、ガクガクしながら言ってくる。


「わたしのヒーローネームは言わないでくださいよ! 嫌いなんですよ! 知ってますよね!?」


「え、白銀ヒーロー『エンジェル』? かっこいいし、かわいくて別にいい――」


「わたしが嫌なんですよ! 月間ヒーローランキングの二位は誰か知っていますか!?」


「風神ヒーロー『ウインド』でしょ?」


「じゃあ三位は知っていますか?」


「炎熱ヒーロー『ボルケーノ』だっけ?」


「そうですよ! そんな中『一位 エンジェル』って書かれるわたしの気持ちがわかりますか!?」


 と、珍しくテンションマックスの時雨。

 彼女はなおも続けてくる。


「どうしてわたしだけ『エンジェル』なんですか!? 神話的なネーミングじゃなくて、白銀ヒーロー『ライトニング』とかにしてくださいよ! そのせいでわたしは――」


「シャーリィは知ってるぞ! エンジェルは天使のことだな! シグレは天使だ! 天使ちゃんなんだ!」


 と、言ってくるのはシャーリィである。

 時雨はやや涙交じりで、彼女を指さし空へと言ってくる。


「これですよ! わたしはかっこいいヒーローネームがいいのに、みんなわたしのことを『天使ちゃん』って呼んでくるんですよ!」


「…………」


 空としては親しみがあっていいと思う。

 だがしかし、それは言わない方がいいに違いない。


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