第二百六十八話 空と天使班は任務を受けてみる②
(はぁ……まぁ本当に時雨が嫌がったら、あとからでも班の名前なんて変えればいいか)
と、空がそんな事を考えていると。
くいくい。
「ねぇ空! ちょっとこれみなさいよね!」
胡桃である。
彼女は空の袖を掴み、ヒーローボードの前へと引っ張り出してくる。
そして、彼女はヒーローボードを指さしながら、空へと続けて言ってくる。
「あたし達の班の最初の任務は、これにしましょうよ!」
「えーっと、なになに……」
●非合法ヒーロー集団 『スカルボーン』の捕縛
廃ビルを根城としているスカルボーンを無力化、捕縛の依頼。なお、スカルボーンは二十名以上の大グループのため、万全の体勢で挑むことが推奨される。
「…………」
「黙りこんでどうしたのよ? ひょっとして……すごい任務を見つけたあたしに、感動してる感じ?」
きゃっきゃとはしゃいでいる胡桃。
彼女は空の背中をバシバシしてきながら、更に続けてくる。
「べ、別にあれよ……いちいち感謝しなくてもいいんだからね! あたしはほら……あ、あんたの奴隷、だから……あんたのためなら、どんなことだって……その、ね?」
「はぁ~うざ……うざいわぁ」
と、胡桃にチョップしながら、会話に混ざって来るのは氷菓である。
彼女は「痛っ、痛っ!」と喘いでいる胡桃にチョップを続けながら言う。
「最初からそんなの受けてどうするつもりかしらぁ? 最初の任務はチュートリアルもかねて、難易度落としていくのが普通……私はそう思うのだけれど」
「で、でも! あたし達だったら、もっと難しい任務でもきっと……っていうか、頭にチョップするのやめてくださいよ!」
「じゃあお前も、空に尻尾を振るのやめなさい……あれは私の物だもの」
「なっ!?」
わーわーぎゃーぎゃー。
早くも班内で抗争が起きている。
(これ大丈夫なのかな……いざって時にも喧嘩が発生したら、とんでもない事態になるんじゃ)
と、空が一人そんな事を考えていると。
「兄さん……この任務などどうでしょうか?」
時雨がそんなことを言ってくるのだった。




