第二百六十七話 空と天使班は任務を受けてみる
時はグループ結成から数日後。
現在、グループメンバー――空、胡桃、氷菓、そして担当ヒーローの時雨は、ヒーローボード前へとやってきていた。
なお、この時点で担当ヒーローが同伴しているのは、空達だけである。
通常、担当ヒーローは必要任務のみ合流するので、それが当然なのだが。
では、どうして空達にヒーローが同伴しているのか。
簡単だ――ヒーロー『天使ちゃん』の中身が、時雨だからこそである。
「兄さん……グループの名前に悪意を感じます」
と、ちょうど声が聞こえてくる時雨。
彼女はジトーとした瞳で、空を見上げながら言ってくる。
「兄さんが班長だという話でしたよね?」
「うん、まぁ半ば無理矢理やらされたんだけど」
「いえ……兄さんが班長なのはいいんですよ。では、どうして空班ではなく、天使班なのですか?」
「それは時雨が僕達のグループの象徴だからじゃないかな?」
とてもいい事だと思う。
のだが、どうやら時雨はお気に召さない様子。
彼女「むぅ~」っと、頬を膨らませている。
(それに天使班って僕が付けたんじゃないんだよね……この名前を付けたのは――)
今も時雨の背後から、こちらをじっと見つめている氷菓だ。
彼女は「面白いから黙っておきなさい」とばかりに、陰湿そうな笑みを浮かべている。
(はぁ……まぁ本当に時雨が嫌がったら、あとからでも班の名前なんて変えればいいか)
空は一人そんな事を考えるのだった。




