第二百五十九話 空とプロヒーローの説明
時雨が堕天使ちゃんだと判明してから数日後。
現在、空、胡桃、そして時雨は校内一階の廊下にあるボードの前へとやってきていた。
なおこのボード、最初からここにあったわけではない。
というか、完成したのは昨日の夕方であるため、空も見るのは初めてだ。
「では、これよりヒーローボードの説明をします」
と、言ってくるのは、白銀の騎士甲冑をまとった少女。
時雨お仕事モードこと、白銀ヒーロー『エンジェル』である。
「時雨ちゃんマジ天使!」
「え、エンジェルさん! ファンです! 握手してください!」
「サインお願いします!」
などなど聞こえてくる声。
時雨はため息一つ、そんな彼等へと言う。
「少し静かにしてください……サインも握手もあとでしっかりするので」
けれど、当然というべきか声は全くやまない。
空も少しは協力してあげた方がいいか……などと考えた瞬間。
「《プロヴィデンス》……」
時雨の言葉と共に、舞い散る光の粒子。
同時、シーンと静まり返る廊下。
「これで静かになりましたね……それでは改めて、説明を始めましょう」
再び聞こえてくる時雨の声。
空が先の騒いでいた生徒たちの方を見ると、その口は光の粒子によりしっかり塞がれていたのだった。




