第二百五十四話 空とグループ完成
それからあーでもないこーでもないと、ひたすら話あった結果。
「じゃあ班長は空で決まりね! 頑張りなさいよね!」
「応援してるわぁ。頼れる後輩さん」
と、言ってくるのは胡桃と氷菓である。
当初二人は互いに「自分こそが班長に相応しい」と言い張っていたのだが。
どうしてこうなった。
気がつけば空が班長になっていた。
二人曰く、間を取りつつも二人が納得できる人選とのことだが。
どうにもしっくりこないのは空だけだろうか。
(まぁ別にいいけど……僕が班長引き受けることで、二人の言い合いが止まるなら安いものだよね)
「はい、では次の議題に移ります……注目」
と、机を指でトントンしながら言ってくるのは氷菓である。
最初の議題がグループ決めとくれば、次の議題など言われなくてもわかる。
「どのヒーローの元に付きたいかだけれど、何か意見はあるかしらぁ?」
と、予想通りのことを言う氷菓。
空はそんな彼女へと言う。
「昼にパンフレット見てたんですけど、これって第一から第五志望まで書いて、ヒーロ協会に出せばいいんですよね?」
「えぇ、そう。自衛隊と警察所属のヒーローを統括するヒーロー協会に出せば、向こうで自動的に振り分けてくれるわぁ。当然、第一から第五まで全部漏れれば、志望していないヒーローに振り分けられる可能性があるけれど」
「うーん、じゃあ筋肉ヒーロー『マッスル』とかは――」
「嫌よあんな筋肉達磨、花がないもの」
「えぇ……」
筋肉ヒーロー『マッスル』は、女性人気が低いと聞いてはいた。
けれどまさかこれほどとは。
「く、胡桃もマッスルさんは嫌だ?」
「あたし? うーん、空がいいならいいかな……あたし、空が好きなものはなるべく好きになりたいし!」
さすがは胡桃。
ショッピングモールでマッスルの雄姿を見ただけある。
ともあれ、これで多数決はマッスルに傾く。
「第一志望はマッスルさんで決まり、それでいいですね?」
「くっ……卑怯よ、おまえ達」
露骨に嫌そうな顔をする氷菓。
と、その時。
「失礼します……遅れてすみませんでした」
ヒーローコスから制服に戻った時雨。
そんな彼女が風紀委員室へとやってきたのだった。




