第二百五十二話 空と風紀委員と話し合い②
「まぁいいわぁ……仕方がないから、今日は私が議題について話します、よく聞きなさい」
と、癖なのか異能で作り出した氷を指で遊ばせながら、言ってくるの氷菓である。
学校側から大きな発表があった今日。
風紀委員を招集し、わざわざ会議を開く話題とはいったい――
「おまえ達、一緒に組む人は決まっているかしらぁ?」
と、やたら真剣な様子で言ってくる氷菓。
空には一瞬、彼女が何について話しているのかがわからなかった。
すると氷菓はそれを察したに違いない。ため息一つ、言葉を続けてくる。
「学生ヒーローの件よ。誰かと組む予定はあるかって聞いてるの……おまえ、バカなのかしらぁ?」
「いやいやいや、それここで話す話題じゃないですよね!? どう考えても風紀委員の議題として相応しく――」
「私が風紀委員よ。私が是と言えば、それが正義なのよ」
横暴だ。
しかし、氷菓がそう決めたのなら、もう何を言っても無駄に違いない。
空が黙り込むと、満足した様子の彼女は再び口を開く。
「さて、話は少し逸れるのだけど……おまえ、ボッチについてはどう思うかしらぁ?」
「よくないと思いますよ。本人次第ですけど、場合によってはイジメに繋がる可能性もありますし。でも、本人が一人を望んでいるのなら、一概によくないとも言えませんかね。まぁ、すごく難しい問題だと――」
「本人はそれを望んでいません。何故か誰もグループを組んでくれません。それを前提に考えなさい……おまえ、どう思うかしらぁ?」
「いや、どう思うも何も……氷菓さんまさか、グループ誰とも組めてないんですか?」
「はぁ、これだから低能は。すぐにそういう発想に至るのが、本当に可哀想だわぁ」
などと言ってはいるが、空から露骨に目を逸らしている氷菓。
これはどう考えてもそういうことに違いない。
空がじっと、時雨ばりのジト目を意識して氷菓に向けていると。
「私のせいじゃないわぁ……声がかかるのを待っていたら、皆さきにグループを決めてしまって、勝手に余っていたのよ……私だけ」
と、ついに白状する氷菓。
なるほど、納得である。
(氷菓さんはかなり美人だし、序列五位なのもあって少し声をかけづらいんだろうな)
そこに本人も待ちの姿勢だ。
そんなの余るに決まってる。
と、空がそんなことを考えていると。
「さぁ空……おまえの返事を聞いてあげるわぁ」
氷菓は挑発的な様子の笑みを浮かべ、空へとそんな事を言ってくるのだった。




