第二百四十八話 空とヒーローの方策
『全校集会を行います。全校集会を行います。生徒の皆さん、教師の皆さんは校庭へと集まってください。繰り返します――』
そんな放送から時は数分後。
現在、空は校庭へとやってきていた――場所は違うが、胡桃もどこかへ居るに違いない。
(というか、胡桃が違うクラスどころか、僕より学年下なの忘れてたな)
さっきなど、ナチュラルに一緒のクラスの列に並ぶところだった。
胡桃とは先輩後輩な付き合い方をしたことがないので、仕方ない事ともいえる。
さてさて。
「であるからして~」
と、壇上では校長が今後の学校の方針について話している。
しかし、他の学校でもよくあることに違ないが、聞いている人は少ない。
だいたいは友達と小声でお喋りか、聞いているふりをして違うことを考えている。
(校長の話長いんだよね、どう考えても関係ないこと喋ってたし)
今は先に言った通り、今後について喋っている。
だが、少し前など朝食の納豆のすばらしさについて語っていた。
どうでもいいと言わざるを得ない。
校長にとっては生徒を注目させる引きの話だったに違ない。
けれど、完全に目的は失敗……むしろ生徒の意識は離れてしまっている。
いつもの流れならば、このまま生徒の意識が校長に向くことはないのだが――。
「というわけで、今日はこの方に詳しく話をしてもらいます……それではどうぞ、プロヒーローの天使さんです」
校長のそんな声。
瞬間、校庭が一気に静まり返る。
続いて聞こえてきたのは。
「どうもプロヒーローの『エンジェル』です。校長先生のお話にあった通り、今日は大事な説明があってやってきました」
プロヒーロー『エンジェル』こと、時雨の声。
彼女は空含め、生徒全員の意識を壇上へと引き戻すのだった。




