第二百二十九話 空は予定を立ててみる③
「よ、よかったです……っ! てっきりもう戻ってきてくれないのかと思いました……で、ですが、これで安心して本題についてお話が出来ます!」
と、嬉しそうなリーシャ。
彼女は空の手をきゅっと優しく掴んで来ると、空へと続けて言ってくる。
「クウ様! よ、よろしければ明日、わたしと一緒にお出掛けをしてくれないでしょうか?」
「うん、別にいいよ」
「ほ、本当ですか!? そんな……こんな簡単にお返事をいただけるなんて、感激です!」
リーシャはまたしてもお祈りモードに入ってしまう。
彼女のように敬虔な信者が居る神は、きっと幸せ者に違ない。
それにしても、先のリーシャのお誘いは空にとっても嬉しいものだ。
なんせ。
(僕はまだエクセリオンの街を全然見てないし、このまま帰るのは少しもったいないかなって思ってたんだよね)
他にも理由はある。
それはスキルもとい技能のことだ。
空は魔法 《ブラックスミス》を手に入れてから、剣を使う事が増えた。
そして、場合によっては日本でも使う事が増えていくに違いない。
にもかかわらず、空は剣の技能を一つしかもっていないのだ。
(当初は怪人と戦うときに武器を使わないスタンスだったけど……まぁ厳密には今もそれは変わってないけど、武器を作り出せる能力を手に入れた今は違う)
剣の技能だけではない。
弓や斧の技能も手にれてもいいくらいだ。
そう、空はこのエクセリオンで技能書を購入したいのである。
空がそんな事を考えていると。
「では、明日の朝に迎えに来ますね! おやすみなさい、クウ様!」
と言って、リーシャは笑顔で去って行くのだった。




