第二百二十一話 空と仲間達は連行されてみる
時はリーシャが回復を始めてから数十分後。
場所は変わらずエクセリオン門前。
「さっきの方で最後です……疲れました!」
と、言葉とは反対に笑顔のリーシャ。
空はそんな彼女へと言う。
「お疲れ様。まさか本当にその場で全員治療するなんて、思ってもみなかったよ」
「わたしに救いを求めてくれるのなら、わたしはそれに最大限応えたい……ですから、別にたいしたことではないです!」
「いや、たいしたことだよ。少なくとも、僕はリーシャを尊敬する。僕は列の整理したり、野次馬がやってこない様にしてるだけしか、出来る事がなかったし」
「十分です、クウ様。クウ様の行いはわたしにとって、神の如き――」
「ねぇ、っていうかさ」
と、お祈りモードに入りかけたリーシャを遮るのは、胡桃の声である。
胡桃はリーシャへ続けて言う。
「あんたっていつもこんな感じなの?」
「回復を頼まれることでしょうか? それでしたら、はい――わたしに出来るのは、傷ついた方々を癒すことだけですから」
「最初はただの泥棒猫だと思ってたけど、あんたすごいのね」
「い、いえ! わたしなんかまだまだで――」
「クー! みんな! 大変だ!」
と、またも遮られるリーシャの声――遮ったのはそんなシャーリィの声である。
彼女は先ほどまで、他に怪我人がいないか見ていたのだが。
「なんか来た! すっごい怖そうな奴が来たんだ!」
と、シャーリィはそんな事を言ってくるのだった。




