第二百十九話 空とエクセリオン②
「この街、二層構造なんです! 地下には職人街が広がっているんですよ!」
と、言ってくるリーシャ。
彼女は更に続けて空へと言ってくる。
「職人街も表層と同じくらいなので、とても大きい街なんです!」
「…………」
空はこの時、確信した。
この街は間違いなく空が知っている街の中で、もっとも巨大であると。
(でも当然なことなのかな。この街は魔王との戦いの最前線だし)
つまり、裏を返すならばもっとも重要な場所であり、人が集まりやすい場所だ。
物資なども必要に違いないし、栄えるのは当然の流れと言える。
「クー! クー! シャーリィ早く街の中に入りたい!」
「少し子供っぽいけど、今回ばかりはあたしもシャーリィに賛成。早く街に入ってみたいわね」
と、見るからにうずうずしているシャーリィと胡桃。
空はそんな彼女達に頷いたのち、エクセリオンの街へと歩をすすめるのだった。
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さて、場所はエクセリオンの街を守る門前。
空達は現在、エクセリオンの街へ入るための待機列に並んでいた。
なんでも、街にやってきた目的や荷物の検査があるらしいのだが。
「クー! シャーリィは暇だ!」
と、待ちくたびれたに違いないシャーリィ。
彼女は更に続けてくる。
「遊びたい! シャーリィはクーとなんかして遊びたい!」
「こら、我儘言わないの!」
と、そんな声は胡桃である。
彼女はまるでお母さんの様にシャーリィへ言う。
「みんな我慢してるんだから、あんたも少しは大人しくしなさいよね!」
「うぅ……だってぇ」
「だってじゃない! 周りを見てみなさいよね! 騒いでるのあんただけなんだから!」
「まぁまぁ、クルミ様。あんまり怒ると、シャーリィ様が可哀想ですよ」
と、声をかけるのはリーシャである。
声をかけられた本人こと胡桃は、リーシャへと言う。
「あんたはシャーリィに優しすぎなんだからね! っていうか、あんたは万人にたいして優しすぎ! もう少し怒りなさいよね!」
「あ、あはは……その、怒るのは昔から苦手なんです」
と、リーシャが言ったまさにその時。
周囲が凄まじい勢いでざわざわし始めたのだった。




