第二百十八話 空とエクセリオン
地下街道を抜けて、歩くことしばらく。
空達はようやく目的地――エクセリオンの前へと到着していた。
「うわ、すごいなこれ」
エクセリオンは魔王が支配する領域の境に立っている。
言うならば、人間を守る防壁のような都。
故に、空はある程度のことは想像していた。
例えば、巨大な城だったり、長く続く壁があったり。
だが、なにもかもが空の想像を超えていた。
まず目に着くのは、巨大な壁だ。
エクセリオンの街は両脇に巨大(見た限り富士山程の)な山がある。
なんと、壁はその山を繋ぐような形で作られているのだ。
そして、次は美しくも頑強そうな城だ。
簡潔に言うと、エクセリオンの城は城壁と半ば融合する形で作られている。
故にどこからどこまでが城で、壁なのかがわからない……それほどに巨大なのだ。
最後にエクセリオンの街だが。
これはもう簡単に表せる。
すなわち――。
「本当にすごいな、これ……」
異世界と日本。
それら合わせても、空が見てきた中で一番大きいのではないか。
そう思う程の栄えっぷりだ――おまけに、その街の外周にも更に壁があるのだ。
と、空がそんな事を考えていると。
とことこ近づいて来るリーシャ。
彼女は心なしかドヤっとした様子で、空へと言ってくる。
「クウ様に驚いていただけたようで、本当に嬉しいです! ですが……」
ですがなんだというのか。
まさかこの上、この街にはまだ何か驚く要素が……。
と、空がわくわくドキドキしていると。
「この街、二層構造なんです! 地下には職人街が広がっているんですよ!」
そんな事を笑顔で言ってくるのだった。




