第二百十二話 空は太古の魔物を倒してみる②
「胡桃、シャーリィ……度々ごめん。僕とリーシャをしばらく守ってほしい」
言って、空はすぐさまリーシャを見る。
彼女はすでに準備ができているに違いない――すぐにこくりと頷いて来る。
空はそんなリーシャの手を握り、彼女へと言う。
「狙うのはエンシェントデーモン。使う魔法は聖天魔法 《ホーリーレイ》で行こうとおもってるんだけど……それ以外になにかいい魔法がある?」
「あります! もともと《ホーリーレイ》は範囲魔法なんです! なので、この場合もっとも適しているのは――」
と、魔法の名を告げてくるリーシャ。
空はその言葉に黙って耳を傾けた後。
「わかった。じゃあリーシャ、力を貸してもらうよ」
「はい、勇者様! その……力をお貸しすることしか出来なくて、申し訳ありません」
と、元気のないリーシャ。
空はそんな彼女へと言う。
「そんなことないよ。何回も言うけど、僕達が戦えるのはリーシャのおかげなんだから」
さて、お喋りはここまでだ。
空はまだ倒すべき敵を、完全に倒していないのだから。
「…………」
空は手を翳す。
狙うのはエンシェントデーモンの上半身。
(顔を斬りまくったのと、首を斬りさいたのが効いたんだ……エンシェントデーモンの動きはまだ止まってる)
今ならば聖天魔法を確実に当てられる。
逆に言うならば、確実に当てるならば今しかない。
チャンスはもう二度とめぐってこない。
「聖天魔法……!」
エンシェントデーモンは倒す。
今ここで。
「《エクスカリバー》!」
直後、空が翳す手の先に現れたのは、巨大な光の剣。
それは一瞬の静寂の後、凄まじい速度でエンシェントデーモンを貫くのだった。




