二百十一話 空は太古の魔物を倒してみる
「あなたに吹き飛ばされた勢いと、魔法の反動! それにレベル4と勇者の力……全部を乗せた攻撃だ!」
言って、空はエンシェントデーモンの首を二本の剣で斬りつける。
するとエンシェントデーモンは、首から炎の血液を噴き出しよろける。
しかし。
(まだ倒れないのか……やっぱり最後はあれを使うしかない!)
空はよろけているエンシェントデーモンの頭部を全力で蹴り、奴から距離を取る。
そして、すぐさま胡桃達の戦況を確認。
(よし、小型デーモンを殆ど倒してる。残ってる小型デーモンもエンシェントデーモンがピンチなせいか、動きがかなり緩慢になってる……これなら)
空は周囲の小型デーモンに片手剣を投げ付け、ダメ押しとばかりに数を減らす。
その後すぐさま、彼は胡桃達の方へと走りよる。
「ちょ――あんたボロボロじゃない!?」
「クー! お腹に穴が空いてる! ち、血が――!」
と、言ってくるのは胡桃とシャーリィである。
心配してきてくれるのは、空としても嬉しい限りだ。
けれど、残念ながら今はそんな場合ではない。
「リーシャ、聖天魔法を使う……準備はいい?」
「は、はい! わたしの全てはいつでも勇者様のものですから!」
と、お祈りポーズのリーシャ。
空はそんな彼女に頷いた後、胡桃とシャーリィへ言うのだった。
「胡桃、シャーリィ……度々ごめん。僕とリーシャをしばらく守ってほしい」




