第二百九話 空と太古の魔物④
「もうここからは魔眼の力も、なにもかも全て使い尽くす! そして、全員で無事にここを通してもらう……そのために僕はあなたを倒す!」
直後、空はエンシェントデーモンへ向け駆け出す。
けれど、今度が奴も簡単には近づかせない気に違いない。
なぜならば。
「っ!」
空の進行方向に灼熱の火柱が噴出したからだ。
もう少し進んでれば、空の身体は大ダメージを受けていたに違いない。
とはいえ、立ち止まることは最悪手だ。
(この火柱は地面が盛り上がってから、炎が噴き出すまでにラグがある……だったら)
空はそこでより速度を上げる。
魔眼の反動と相成り、足に凄まじい負担がかかっているが今は無視だ。
すると。
(予想通り、火柱が僕に追いついてない)
しかし、まだまだ油断はできない。
と、空がそんな事を考えた瞬間。
空の頬を高熱の何かがかすめ、後方へと飛んでいく。
見れば、エンシェントデーモンの周りに火の玉が浮かんでいる。
それは順に発光し――。
「まず……っ!」
空が言葉を言い切る前に、襲ってきたのは無数のレーザーである。
その量と速度は、もやは魔眼を使った空の身体能力をも上回っている。
「ぐっ……ぁああああああああああああああああああっ!」
脇腹を射抜かれ。
身体の至る所をかすめる。
けれど、致命と成り得る場所だけは、なんとか躱し切る。
受けたダメージは甚大だ。
しかし。
「間合いだ!」




