第二百八話 空と太古の魔物③
襲ってくる爆炎。
先のエンシェントデーモンの一撃。
そして、体感できる熱から考え、これは空にとっても致命と成り得る。
(もう様子見をしている場合じゃない……魔眼《王の左目》!)
直後、空の世界はゆっくりになる。
空はそんな世界の中、迫って来る爆風を後ろへ下がってなんとか躱し切る。
けれど、状況は決して好転したわけではない。
(魔眼を使っても、爆炎の速度はすごかった……それに、見た感じエンシェントデーモンも少し動きが遅くなった程度だ)
非常にまずいと言わざるを得ない。
唯一の救いは初っ端聖天魔法を使わなかったことだ。
エンシェントデーモンの強さから考えるに、聖天魔法では倒せなかったに違いない。
となれば、待ち受けるのは空の弱体化のみ。
(聖天魔法を使うタイミングはシビアだ。つまり、相手を弱らせてから使うのがベスト)
問題はそれが難しいことだ。
なんせ、身体能力は圧倒的にエンシェントデーモンが上だ。
けれど。
「その差はスキルで埋める!」
空は再び《ブラックスミス》を発動。
彼は左手にもう一本片手剣を作り出すと。
「もうここからは魔眼の力も、なにもかも全て使い尽くす! そして、全員で無事にここを通してもらう……そのために僕はあなたを倒す!」




