第二百四話 空と狐娘聖女戦争
「あのお菓子、シャーリィのだったのか!?」
と、空と胡桃の会話に参加してくるシャーリィ。
彼女はこれまで無心といった様子で、ひたすらポテトチップスを食べていたのだが。
「シャーリィもねりねりしたい!」
と、真剣な様子で言ってくる。
シャーリィはよほどねりねりしたいに違いない。
なんせ、彼女の狐尻尾がすごいことになっているのだから。
「えーと……その」
と、なにやら気まずい様子の胡桃。
空はここでとある事に気がついてしまう。
(まさか胡桃……『ねりねりねりねり』、シャーリィ用の分持ってきてないのでは?)
だとしたら、先の『元はシャーリィ用に買った』発言はまずい。
シャーリィはお菓子に関しては結構うるさい。
(以前、僕の冷蔵庫にあるお菓子ストックを壊滅させたことからも、そのこだわりの強さは簡単にわかる……)
このままでは狐娘聖女戦争が起こってしまう。
仲良しになり始めた二人が知育菓子で争い始めたら、しょうもなさすぎる。
と、空がそんな心配していると。
「シャーリィ、その……ねりねりするやつはないんだけど」
聞こえてくる胡桃の声。
彼女はリュックをわさわさ何かを探し、目当てのものを見つけたに違いない。
彼女はそれをシャーリィに見せながら言う。
「ぶにゅぶにゅする奴ならあるわ」
「!」
と、狐尻尾を立てるシャーリィ。
こうして、狐娘聖女戦争は回避されたのだった。




