第二十話 空は狐娘をおもてなししてみる
「わぁー! すごい、すごいぞ! シャーリィはこんな食べ物見たことがない!」
と、空とテーブルを挟んで反対側――そこから言ってくるのはシャーリィである。
彼女はキラキラと瞳を輝かせながら言ってくる。
「このキラキラしてる飲み物はなんだ?」
「それはサイダーだよ」
「さいだぁ………じゃあこっちのこれ! この薄いのはなんだ!?」
「それはポテトチップスだよ」
「ポテト……芋だな! 本当にシャーリィが食べていいのか?」
と、尻尾をびちびち振りながら言ってくるシャーリィ。
空がそんな彼女に対し頷くと。
「っ!」
シャーリィは飲食物へ手を伸ばし始める。
彼女が最初に手を付けたのは。
「な、なんだこれ! 口の中がしゃわしゃわするぞ! でも美味い……こんなの初めてだ!」
サイダーである。
次にシャーリィが手を付けたのは――。
「ただの乾燥芋じゃない! これは……パリパリしてて、塩が効いていて美味しい!」
ポテトチップスである。
それからもシャーリィのおやつタイムは続く。
「すごい! このお菓子、いくら噛んでもなくならないぞ!」
ガムを食べたり。
「ふにゃふにゃしてて軟弱だ! でも美味いぞ!」
グミを食べたり。
シャーリィは飢えた狐の如く大量のお菓子を食べまくった。
そして、時はそれから数十分後。
「うぅ……もうダメだ。シャーリィは食べきれない、お腹がいっぱいだ」
と、ようやく止まるシャーリィ。
なお。
(まさか僕のお菓子備蓄のほぼすべてを食べるなんて……)
空はこの日、初めてシャーリィに恐怖したのだった。




