第1話:村と依頼
6月2日(土)四時起床、拳大サイズのクッキー二枚とタンブラーに入れた温かいコーヒーを持って副業部屋へと向かう。今日の窓は三つのうち一つだけが太陽の光を放射していた。サムは今は夜となっている窓辺に置いてあるサボテンを光さす窓辺へと移してから、テーブルに座ってメモに目を通す。メモにはやるべきタスクが書き連ねられている。サムはコーヒーを一口すすり、今日のタスクだけを取り出してメモに書き込みさらに優先順位をつける。それが終わるとクッキーを食べる。サクサクとした食感と中に混ぜられているドライフルーツのグミのような食感が食べていて面白く、甘さの中に軽い酸味が混ざり食べ疲れさせない。今日はすこし長丁場になるかもしれないと、もう一枚のクッキーは食べずに置いておく、さらにコーヒーを半分ほど流し込むと、いよいよバーチェアに座り、Log Inする。
視界が変わるとサムは物置小屋にいる、この物置小屋は二週間ほど前に村の大工に作ってもらった物で、森の散策中に手当たり次第に集めた植物を詰め込めるように、中は2畳程度の広さで、全ての壁面に棚を作り付けてもらっていた。また、母屋からは数本の柱と屋根のみの渡り廊下を作ってもらい、集めてすぐの植物は1日屋根の上で乾燥させて、それを小屋に詰め込んでいた。小屋の中からは様々な香りがして少しクラクラする、もしかしたら香辛料なども含まれているのかもしれない、少しスパイシーだ。
今日はこの集めた植物を村の薬師に見てもらう予定で、その準備を自動操縦にお願いしていた。サムは両手に集めた植物を写生した木の板を持っており、それと同じ植物をヌバタマとダイフクに袋に詰めてもらっているところであった。まだ暗い時間帯なので、傍らには蛍雪が光る提灯をもって何を見るでもなく佇んでいた。サムの体は自動操縦により、袋詰めの指示を行なっていたが、一旦手を止めて、三人に挨拶をする。 「_タマ、フク、蛍、おはよう」 「_サム様、おはようございます。」 「_ご主人様、おはようござります。」 「_サム、おはよう。」 「_みんな、早朝から働いてもらってありがとう。でももう袋も一杯だし、今日はこれだけ見てもらうことにしようか。」
村の薬師に植物の名前と効能を聞きに行くのはこれで三回目になる。薬師はおばあさんで名前はヤクシと言う。村までの道のりは一人減り、サムとヌバタマとダイフクで向かう。サムは集めた植物を、萩ノさんに作ってもらったダッフルバッグに詰め斜めに背負う、そして植物を写生した木の板を入れた大きめトートバッグを二つ両肩にかけて歩き、ヌバタマはこれまた萩ノさんに作ってもらった大きなリュックサックを背負い、ダイフクはサムの肩に乗ってうつらうつらしている。村まではひらけた一本道、さらに石垣に沿って歩けば良いため、暗く霧が立ち込める早朝でも、道に迷うということはない。サムは寝ているダイフクを起こさぬように静かにあるく。暗闇には、木々のざわめき、木々から落ちる水滴の音ととサムとヌバタマの呼吸音だけが響いている。
それまでずっと左手に石垣が見えているが、その石垣の作りは緻密で、ピラミッドやその他の古代遺跡を思わせる綺麗に四角い石が積み重ねっている。15分程歩いただろうか、漸く村の門のが見えてきた。その門に扉はないが、石垣が一段高くなりアーチ状になっている。また門周辺の森は整備が行き届いており、木の高いところまで枝打ちがされていて、その隙間から星空が見えた。サムは木々の隙間から見える星空を見上げ、そして門の美しいアーチを下から見上げながらくぐる。
村はそれまでサムたちが見てきた石垣を、外垣としその中には一面の畑が広がっている。さらにその中に、もう一周石垣が組まれており、その中が、人々が内垣と言っている集落部となっている。流石にまだ暗いので、畑に出ている人はいない、サムは 「_さあ、もう一踏ん張りだ。」 とヌバタマに話しかけ、その声で起きたダイフクに 「_おつかれフク、一足先にヤクシさんのところに行ってもうすぐ着くと伝えてくれるかい。」 と言うと、ピっとひと声なくと集落の方へと飛び立って行く。外垣内の畑は碁盤の目のように正確に区切られており、この世界の測量の技術の高さを思わせる。また、サムが最初の頃に見て不思議に感じたのは、九区画を一つの塊として、同じ植物が植えられている。そして一つの塊ごとに別の植物が育てられている点だ。これでは一塊りを一世帯で管理する場合、一種類の植物しか一年で口にする事が出来ないことになるので、おそらくは、物々交換もしくは貨幣での経済が成り立っているのか、もしくは村全体で収穫したものを村人全体に分配する仕組みで回っているのだろうかと考えていた、こう言うと聞けば良いではないかと思われそうだが、サムはこの世界の仕組みは全て知らない為、なんでも一気に聞いて変に怪しまれないように、重要度の高いものから少しずつ話の流れに乗せて聞くようにしていた。
門から内垣への道は斜めに真っ直ぐに向かうことは出来ず。畑の区画にそってまずは東へと歩く。その道は広く、街路樹の様なものが道々に植えてある。村の外に生えている様な背の高い木では無く、ヌバタマくらい長身のものであれば背を伸ばせば届きそうな箇所に枝が広がっている。今は葉が茂るのみだが、もしかしたら、季節によっては果物がなったりするのかもしれない。街路樹は遠く東側の門まで続いている。畑の区画を区切る道全てに街路樹が植えられていないところをみると、ここは大通りといった感じなのだろうか。しばらく歩くとそこまで歩いてきた道の様に南北を渡した大通りと交差した。ここは霧が晴れると、南に内垣が見え、遠く北側に門も見える。
「_さて、もうすぐだけど少し休もうか。」 「_はい、サム様」 「_そう言えば、タマは人の村には詳しいかい?」 「_いえ、わたくしはサム様とこの村に来るまで、人の住む場所に来たことはありませんでした。」 「_あ、そうなんだ。どうだい初めて来た時の感想は。」 「_そうですね。我々は群れて暮らすことをしませんので、このように堅牢な石垣を築いて生活するというのは不思議に感じますね。あと我らは狩猟を糧としますが、人はどうやら違うようですね。」 「_そうか、まぁ僕からみても少し不思議だからね、蜘蛛一族からしたらきっとさらに不思議だよね。」 「_サム様から見ても、ですか?」 「_あぁ、堅牢な石垣に整備された土地、更にあれを見てごらん」とサムは畑の一角に刺された杭を指差す 「_あれ、金属製なんだよね、色からすると鉄なのかな、この村ってさぁ凄い技術の上に成り立っている気がするんだよね。でもその生活は割と原始的というか、長閑というか、んーやっぱり不思議だなって思うんだ。ん?」 とサムとヌバタマが話していると一羽の小鳥が飛んできてサムの肩にとまる。 「_ご主人様、こちらでしたか。ヤクシの婆さまがお待ちでございます。」 「_ははっ、ヤクシさんは気が早いね。さて、急いで行こうか。」
村の内垣、外からは全景が見えなかったが、なかに入ると、相当な広さの集落であることが分かる。また、その土地はは碁盤目状に整備されており、その全てが同じ面積を持っている。各土地の境は、これまた石で組まれた高さ一メートル程の塀で十分な広さを取って区切られている。そしてその塀の中の建物は、サムが住む無為の小屋と同じ様な木の柱に土壁の家が数軒建っている。そしてそれらの建屋をつなぐ様に竹製の屋根がつながっており、渡り廊下の様な作りになっている。そしてその屋根の上にはカゴがのっており何かを干しているのが見えるのはサムの家と同じ作りだ。サムの家と違うのは、その土地の建屋全て離れも含めて、人が十分住めるサイズであるというところだろうか。さらに歩いて見て行くと、塀によって区切られた土地によって、建物の数や配置が自由に組まれていることや各土地に庭も見て取れる。住宅事情は現代東京よりも恵まれていると感じる。
村はまだ夜明け前のせいか通りに人気はなく灯りも灯っていない。サムは村の入り口に通じている大通りをまっすぐ歩き、その通りに面した一軒の家、ヤクシの家に到着する。 「_今日はどこで油を売っていたんだい、大分に遅いじゃないかい。そんなにぼやぼやしてると、こちとらいい年なんだぽっくり逝っちまうよ、ハハハハハ。」 「_いやいや、遅れたことは申し訳ないですけど、ヤクシさんにはまだまだお世話になりたいので、長生きしてもらわないと困りますよ。」 「_なぁに冗談をそのまま受け取ってるんだい、この子は、、まぁいいよ今日持ってきたものを全部、早く見せな」 とヤクシの講義が始まる。
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「_これは結びの香木だね。そうだ近々ナリトの倅とコムウの娘の祝言があっての、その時に使うから、この香木を今の量の10倍ほど採って来てもらえるかい。」 「_はい、わかりました。結びの香木ですか、たしかに良い匂いが、、、色々しますね。」 「_ハハ、それはもう他の香木の匂いが付いちまってるからね。本来ならもっと喉と鼻の奥がほんのり薄く甘くなる様な匂いがするのさ、それにこれは保管の仕方と処理の仕方もいかん、こいつは葉っぱを全部毟ってから干すんだ。それで天日で干せば干すほど香り高くなるんだ。あと朝霧に当たっちまうと湿って臭いが薄まっちまうから注意すること。そして運搬時はこれ専用の袋に入れてきてくれ、他の香りが混じっちまっちゃぁ祝言には使えないからね。」 サムはヤクシの話を聞くようになって驚いたのは、この世界の香木や香草の多さだ。匂いの表現も多く、上手く翻訳されず文字化けする場合も多々ある。今まで持ってきた植物のだいたい三分の一が香木や香草で、残った分のさらに三分の一が薬草、残りは雑草、雑木となっており。なかには、香木の煙で咳や鼻水を鎮めたり、目の炎症に効くというものまである。なので、香木の多さと人の鼻の良さ、そして匂いの語彙の多さがこの世界の一つの特徴だと感じている。
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「_これは雨の香木、効能はなにもないが、嗅ぐと雨のにおいがするのさね。次は別離の香木、これはまだうちに大分在庫があるからすぐにはいらんが、一度に使う量が多くてね。いずれ必要になるから、暇があったら集めておいてくれ。これの処理は半日陰で・・・・。」 とヤクシの講義はさらに続き、朝日は登り、途中、ヤクシがお茶を入れてくれたがサムは一口飲むと 「_これ何のお茶です?おいしいですね。適度な渋み、後口さっぱり。」 「_それはこの木の葉の部分を煎じてお茶にしたものじゃ、刻んで湯を注ぐだけでも良いがの、婆は煎じたほうが好きじゃ。」 「_へぇ、これはどこかで密生地があった気がしますね。今度自分用に取りに行こうかな。」 「_この木は村の中にも生えているからね。2軒先の店で取り扱っとるから、そこでもらっても良いじゃろ。少量くらいなら婆の方から今度話をしておこう。そういえば、2軒先の家の旦那といえば・・・・」と途中に雑談が入るが、それもまた、この世界を知る貴重な情報源となっており、サムはそれを聞くこともまた大事にしていた。そして、持ってきた植物が全て見終わる頃、サムは自動書記の権能を使って植物の効用と処方を仕分けと同時に記すこともしていた。するとヤクシが 「_ああ、そうじゃこの傷薬をデークの爺さんのところへ持って行ってくれ」 と頼んでくる。デークさんとはサムが最初にサイドラインに来た時に助けた老人で元大工の棟梁、今は自宅療養中だ、サムはヤクシに丁寧に礼をいうと、デークさんの所へと向かう。
目的の場所は大通りから2本ほど奥の通りになるが、この辺の家の作りも大通りに面した家々と同じ作りだ、だが若干離れの数も少ないだろうか、ただその分立派な庭を持つ家が多く、目を楽しませる。庭いじりが好きなサムはウキウキと色々な庭を眺めながら、ゆっくりと歩く、そして辺りでも軒並み美しい、サムがグッとくる庭をしているのが、デークさんのお宅だ、着いてみると、デークさんは縁側にでていて、 「よぅ、兄ちゃん、また庭じじいのでも見にきたのかぃ」 と元気そうに話しかけて来る。 「_ええ、この梅の木見事に咲きましたね。」 「_おうそれは香梅ってな、この庭の中では一番の早咲きでな、薄く透き通る様な黄色と@$%&‘&な香りが特徴なんだ。」 「_香梅ですか、いい匂いですね。それにごつごつとした堅く詰まってそうな幹に、上に伸びる細いシャープな枝振り、花も相まってさらに美しいですね。」 とうっとりとしていると、そうだろうそうだろうとデークさんがご満悦な表情をしている。 「_この木はここまで育つのに40年はかかった。それがわかる兄ちゃんも大したもんだ」 そのあとも他の木を見せてもらうサムだったが、途中ダイフクから袖を引かれて我に帰る。 「_ご主人様、ご主人様ヤクシ婆さまめからの薬をお渡しするのをお忘れでは」 おっとそうだったとサムは、傷薬をデークに渡す。 「_おうありがとよ。そういえば兄ちゃん、研ぎ師のトウギが例のものができた言うとったぞ。行ってもらって来るとええ。」 「_そうですか、教えていただき感謝します。」 とサムは後ろ髪を引かれながらも研ぎ師の家に向かうことにする。
研ぎ師の家は大通りに面しており家の前には様々な刃物や鍋といった類の品々が並んでいた。この世界では製鉄がすでに行われていると言ったが、この村には鍛冶屋はないようだ。あるのは研ぎ専門だけで主な仕事は切れなくなった刃物の研ぎと鍋の補修くらいの様だ、鉄の入手経路を聞きたい所だが、トウギはおそろしく無口な人でなかなか話を振れていないのだった。当のトウギは店の奥で刃物をといでいた。 「_ごめんください。サムでございます。トウギさん、頼んでいたものが出来上がったとかで」 「おう・・・・それだ」 とカウンターの上に置かれた一本の鉈に目線をおくる。これは、デークさんを襲っていたゴブリンが落としていった折れた剣だ、
これまでは鉈としてや、ゴブリン狩りの証明用の耳を切り取るのに使っていたが、少し切れ味が悪いので、刃の研ぎと柄の部分の補修をお願いしていたのだった。見てみると、刃紋は美しくいくつも波打っており、その刃は分厚く適度な重みと、柄のグリップが手に馴染む。鉈を持ってみるとそのしたに鞘があることに気がつく。すると 「_鞘は、デークに頼まれてな、代金はいらん」 「_ありがとうございます。」 鞘は革製で美しい幾何学模様の刺繍が施されており、とても美しく見入ってしまう。その美しさと、これはデークさんにお礼をしないとという考えと、いまトウギがいった”代金”ということばに気がついて、この世界には貨幣があるのかという発見にサムはとてもワクワクし始めていた。するとトウギが 「_おい、ゴブリンが武器を落としていったときには、ワシのところへ持ってこい、あれは良い材になる」 「_承知しました。既にいくつかあるので、今度持って来ますね。」 と言って店をあとにする。
すると戸口近くに長い黒髪をして、真っ白な衣を纏った美女が立っていた。
「_おかあさま」 とダイフクが 「_ツバサさん」 とサムが言う。ツバサはダイフクの母で、今の村主の式をしている。村主とは、一言でいうと、村長と神主を兼ねたもののことで、この村では一番偉い人になる。 「_サム様、村主様がお呼びです。お手数ですが、お屋敷までお越しいただけますか」 サムは承知しましたと答えると大通りを南に進む途中、ダイフクがツバサさんの周りを飛んだり跳ねたりして一緒に歩く姿を見ている。そして我が子ノドカもあと半年から1年したらこういう風に僕やシホの周りを歩くのだろうかと考え、ほっこりした気持ちになる。そうこう歩いていると、通りの突き当たりまで来る、そこは60センチ程地面が高くなっており、それまでの区画の六つ分に及ぼうかというサイズの石組みの屋敷がある。通りに面した所はひと区画分広場になっておりそこを囲む様にコの字型に屋敷が組まれていた。
そこには清涼な風が吹いており、屋敷はシンと静まり返っている。数段の階段を上がると、そこには石組みの椅子、もしくはテーブルが六つ据えられており、うち一つに見知った神が座っていた。 「_よう来たの、すぐ来ると思ったが、なかなか待たせるの。」 サムは何を言おうか一瞬重巡し、ただすみません。とだけ言った。 「_まぁよい。。ツバサ、村主をシュウを呼んでこい。」 と言うとツバサさんはススっと屋敷の中へ入っていく。しばらくして、村主がでてくる。 「_村主様、僕に用事だとか、どうされました。」 「_サムよ来たか、実は悪い知らせが二つあっての」 と切り出す。村主は続けて 「_お主に依頼しているゴブリン狩りの話だ、お主一人でEast森のゴブリン狩りはし切れぬと踏んで、港町まで人を遣って狩人を雇いに言ったのだがな、途中の道で土砂崩れが起きてしまって雇いにいけぬようになってしまった。もう一つは、、、」 それはワシから言おうとむらかみが引き取り
「_ワシの力での、一時村の結界を森の中程まで広げておっただが、村民が少ない状況では神通力が十分に賄えぬ、だから近々結界はこれまで通り村の中とSouthの牧草地のみが対象となるのだ。マレヒトガミだけでなんとかなるかの?」 「_うーん、人手も追加出来ず、結界も縮小ですか。。。近々は今の対応で問題になることはないと思いますが、不測の事態が起きるかもですし、何かしら対策が必要ですね。」 とサムが言うと村主が 「_今年のゴブリンは村近くに姿を表すのが例年のその時期と比べても3〜4ヶ月は早い。例年は村の若者が太陽神の畑から帰ってくる頃にやってくるから、それに合わせて街から狩人も呼んで、ゴブリン狩りを行うんだが、、、今年は全てが異なる。村から人を出せんことはないが、皆一定の年齢を超えておっての、どれだけ手助けになるか。。。」 不安材料ばかりである。サムはふと 「_ゴブリンって何しに村まで来るんでしょう?」 と聞くと、一瞬ぽかんとして何を言っているのかという顔をする村主だが 「_奴らは穀物、家畜、人、集落、道具、全てを欲しがる。だから、ゴブリンは狩らねばならぬ、大昔にはゴブリンに攻め落とされた村があるくらいだ。やつらが大挙してやって来る前にどうにかせねばならん。」 「_そうですか。ではしばらく村通いは止めにして。その分ゴブリン追、いやゴブリン狩りに精を出すことにしましょう。」 「_お主には負担をかけるな。今は村の若い者も出てしまっておるが、9月になれば戻ってきて力を貸せる、そこまで持たせてもらうだけでも良い。」 「_それは力強いですね。ちなみに、がけ崩れの方はどうされますか」 「_そちらはツバサ以外の私の式の力を使って、細々と行うつもりだ。もし開通すれば直ぐに狩人を呼んでこよう。」 「_そうですか、そちらはお願いします。ではしばらくは村には来れませんが、定期的にダイフクをこちらによこすことにしますので、用があれば言伝をお願いします。あともう一つ、これは申し訳ない話ですが、食料のほうーー。」 「_うむ、分かっておる、まずは一月分を渡すことにしよう。」
さてさて、これは一家を率いて大規模ゴブリン追いの準備だ