第3話:新たな家族
「ええぇ、ただいま、シホ、ノドカ。」
「はじめまして、シホさん。ノドカちゃん。」
サム、シホ、キャミーは、サムの家のリビングでキャミーが持参した紅茶とお茶菓子とをとっていた。今話をしているのはキャミーでサムは間に特に口を挟むことはしなかった。何を言おうにもサム自身がまだ半信半疑なのだ、ただキャミーの説明が終わるのを待っていたし、ただ淡々と話を聞くシホに僅かな恐怖も感じていた。
「・・・というわけなの?分かっていただけたかしら。サムさん、シホさん。」
しほは残った紅茶をぐいっと飲み干すと次のように言う。 「就業条件以外は私に理解できない話ということはわかりました。で、サムはどうするの」 「うん、就業条件と給料の事を考えると、断るのは惜しいと思っているよ。シホさえよければー」 と正直に述べるが 「それは受けるということ?ちゃんと言い切って。サム。」 としほから注意を受けてしまうサム。 「そうだったね。ごめん。副業を始めること自体は二人で話し合ったことだし、楽しみと実益を兼ねた、こんな仕事は他にはない。受けようと思う。キャミーさんよろしくお願いします。」 「よかったわ、サムさん、シホさん、それにノドカちゃんもよろしくね。ノドカちゃんは何歳なのかしら」 「今月で一歳になりました。ちなみになんですけど、この扉なんとかなりませんか?ちょっとリビングにこんな大きな扉をつけられると、、、今はノドカも歩かないから良いですけど。大きくなって歩き出したりすると、その、危なそうで。」
「そうね、場所は好きな場所に変えられるわ。」
とあーでもないこーでもないと、ばたばたと動き回る、サムとシホとキャミーであった。
4月22日(土):20時、ノドカは眠り、シホは明日のご飯の下ごしらえを終え、海外ドラマを見始める時間、サムは副業部屋へと向かう、結局扉はクローゼットの奥に設置した。サムは部屋にメモとペンを持ち込む。今日一日、どんな文化をこの世界に持ち込もうかと考えたが、結局は、どんな世界かもわからないということで、まずしばらくは情報収集に努めることにしたのだった。副業部屋に入ってみると、夜中だと言うのに明るい。今日の昼に部屋を見たときに照明すらないことは確認していた。なにが照明になっているのだろうとみてみると、部屋にある三つの出窓のうち二つから燦々と陽の光がさしている。残り一つは夜の闇を映していた、もはや驚きを通り越して、それが自然のことのように受け止め始めている。。
サムはメモとペンとをテーブルに置くと、早速バーチェアに座り、向こうの世界へと向かう。改めて行ってみると、最初に 【Log In】 と視界の右隅に表示されていることに気がつく。サムは景色が変わりきるのを待って辺りを見回す。どうやら昨日の小屋の前のようだ。時間は…、こちらも夜中だろうかと空を見上げるーーその瞬間、ハッと息を飲む。星が、星々がずっと、ずっと近い、星屑の煌めき、瞬き、星々の集まりがまるで美しい雲形に輝いている。視界の隅、夜空が大きく切り取られている箇所がある。それは恐ろしく高い山だろうが、まるで美しい天蓋の柱のようだ。サムはその柱の影を、手掛かりに、夜空の宇宙の闇の部分についても目が向き始める。あぁこの空の暗いことよ、これだこれがより星を輝かせ、また星が闇を際立たせる。暫く呆然と空を眺め、そしてとめどなく己の眼から涙が流れているのに気が付く。周囲は風もなく夜の静けさを湛えている。どのくらい空を見上げていただろう。誰かが歩いて近づいてくる音が聞こえてくる。
「_いつも当たり前にそこにあり、退くこともなく居座り続け、そして今日が特別美しいわけでもない。そんな景色を見て何を泣くことがあろうね。クモガミよ。」 サムは涙も拭うとゆっくりとそちらに顔を向ける。そこには雲龍が静かに佇んでいた。
「_これが当たり前ですか、、素晴らしいですね。雲龍様。」 「_そんなもの、今在るものは全て当たり前に在るものじゃ。何が素晴らしいことなどあろうか。」 「_そうですか、それでは雲龍様にとって素晴らしいこととはなんでしょうか。」 「_素晴らしいこと?なんじゃろうのぅ、無病息災、子孫繁栄かの、ふっ、これもまた当たり前なことかのぅ、あぁあと、様なぞ付けずとも良い、今朝は言い忘れたが、ワシはもう後進に身を譲った身。ただの楽隠居じゃ。」 「_当たり前、いいじゃないですか、無病息災、子孫繁栄、好きですよ僕は、雲りゅ…いや、ご隠居さん。」 サムはこの世界ではこの夜空が当たり前なのか、毎夜この光り輝く夜を闇が深い夜を眺められるだなんて、それだけでもこの世界に来る価値があると思った。そして、無病息災、子孫繁栄を掲げる方を神とすることができて、素晴らしい出会いに感謝するのだった。
「_お爺様、あらくもがみ様も、小屋の掃除があらかた終わりました。小屋の方へどうぞ。」 と萩ノさんが出てきて、ご隠居とともに小屋へと向かう。部屋を除くと突如、煌々とした光が室内を照らす。室内は20畳くらいだろうか、約1/3程が土間で、残りは小上がりの板の間になっている。板の間の3面は開放されており縁側のような作りになっている。室内には灯りが1つ、ろうそくとも勿論蛍光灯とも違う光が灯っている。そして室内には灯りの下で堂々と胸を張って立つ薄緑色の衣を纏い、その唇に薄く紅をさした黒髪の少女ともう1人それとは対象的に所在なさげにその身を小さくしている長身で真っ黒な衣を纏った青年とがいた。
サムは長身の青年の方を見て 「_君はヌバタマかい?」 と言い、次に少女の方を見て 「_こちらは?」 と尋ねると 「_くもがみ様、こちらわたくしめの姪でございます。以後お見知り置きを。この家では、家事手伝いや夜の灯火を申し付けております。」 と萩ノさんが言うと少女は 「私、ヌバタマと、違う、私、光る。」 と、部屋が一段と明るくなる。 「_そうですか、この光はあなたの神通力でしたか。。。ちなみに夜に屋内を照らすようなお家はこの世界では、その、一般的なのでしょうか?」 「_人は、木っ端を燃やしたり、油を燃やしたりして照らしますね。」 「_私の光、焦げた匂いも、油の焼ける匂いもしない。それに明るい。」 と少女が言うと部屋が少し暗くなる。 「_ああ、火と比べたわけではないのです。僕はこの世界のことを何も知らないものですから、、、えーと、君には名前はあるのかい」 「_人に呼ばれる名、まだない」 「_そうでしたか、、、」 サムは一瞬名前をつけることに逡巡したが名前をつけるだけなら式扱いにはならないかなと思い 「_萩ノさんつけてしまって問題ないものです?」 「_ええお願いします。この子もそれを願っています。」 ではでは何が良いかな…しばし考え 「_では、蛍雪と。」 「_蛍雪。私、蛍雪。」 「_そう。宜しく蛍雪」と少女の名を呼ぶとさらに一段と部屋が明るくなる。
【式《蛍雪》を得た】
サムは名前をつけるだけで式になりうることを確認した。違うんです、キャミーさん。お金が欲しいんじゃ無いんですっ。と心の中で謝るサムであったが、蛍雪に名前をつけた時にヌバタマがホッとしていたのに気がついて言う 「_どうかしたのかいヌバタマ?」 「_ふふ、この子はホッとしているのですよ。蛍雪よりも先に名を貰ってしまったからと言って、蛍雪が怒っていたものですから。よかったわね。ヌバタマ、蛍雪。」 「_は、はい。た大変助かりました。くもがみ様。」 「_ありがとう、くもがみ」
「_そうだそうだ、名前は付けたり付けて貰ったりしたけど、自己紹介が全然まだだったね。僕はサムだ。サムと呼んで下さい。くもがみの名はありがたいけど恐れ多くてね。その名は何か大事な時にでも名乗らせてもらうよ。あとこの世界には連れてこれないけど、妻と子供がいます。あぁ、あとは趣味は庭いじりです。この世界には明け方と夜更けに姿を出します。たまに日中来ることもありますが、その時には事前に伝えることにします。ちょっと簡単すぎるかもだけど、こんな感じです。」 と言うと雲龍さんが繋げる 「ワシは、さっきも言ったが、ただの楽隠居じゃ、好きに呼んでくれ。まぁ基本的にはこの家におることにするから、用があらば適当に力を貸そう。」 次は萩ノさん 「わたくしめはこの家では家事一般を勤めさせていただきます。あとは多種多様な糸を出し織ることが出来ます。ご要望ございますればお申し付けください。」 その次は蛍雪が 「蛍雪、灯り灯す。外暗い時にはついていく。」 最後はヌバタマが「 ヌ、ヌバタマにございます。わたくしには他の者のように、くもがみ様のお役に立つ能力はございませんが、ただただお側に仕えさせていただきます。」 四者四様、話方で大体の性格が出てて面白いなぁと思いつつ 「_みんな、これからよろしく」 「_よろしくじゃ」 「_宜しくお願いします」 「_よろしく、たのむ。」 「よ、宜しくお願い致しますです。」
と、話していると漸く、夜が明けてくる。 「_萩ノさん、この家のことを教えてもらえますか?…って言うかここ僕たちの家にしていいんですかね」 「_それに関しては、むらかみ様より許可を頂いています。それとこの建物はもともとは、そばの村のものが集って狩りなどをする場合の詰め所として使っていたようです。ただ今は全く使っていないそうで、自由にして良いとのことです。で、確かに長く放置されていたようで雨戸は壊れておりましたし、板の間と屋根も残念ながら修理が必要そうです。」 「_修理か、それはむらかみ様にでも相談してみようか。他に何か生活する上で気になる箇所はないですか」 「_そうですわね。元が詰め所ということもあって、食事に必要な道具や家具はそろっております。こちらは土間にあったこともあって、修理などは必要なさそうです。あぁ、あとこれはお願いなのですが、梁の上を我らが住処として使っても問題ないでしょうか」 「_うん、それは問題ないですよ。ただ、屋根を修理してからかなぁ」 とサムは大きく剥がれた屋根を眺める。 「_ですわねぇ、あそうそう、家のSouth側の縁側を見てください。お庭がありましてよ。」 「_おお、それはーー」 と急ぎ見てみるとそこんは荒れ放題の開けた土地があった。 「_これはやり甲斐があるねぇ。。」 などと会話していると。
突然 「修理の依頼は不要よ」 とキャミーが現れる。 「_うおっ!、突然きますね。」 と大げさに驚きながらサムは続けて 「_修理が不要とは?」 と質問する。 「むらかみの許可もおりたし、ここをあなたのお家にしましょう。だからこの家にも名前をつけて、そうすれば神通力でパパッと直っちゃうわ。」 「_そんなのなんだか便利すぎません?…まぁでもここに住むご隠居さんたちからすると早く直せるのは便利かぁ」 とゆっくり自分の手で直す楽しみと蜘蛛一族の利便性を天秤に掛けて、蜘蛛一族をとるサム。またしばらく家の名前を考えると 「_それではそれでは雲龍様、この小屋に名前をつけるお力をお貸しください。」 「_よかろう。」 「_それでは名付けます。”無為の家”」 と言葉を発すると、壊れた屋根や剥がれた土壁、割れた雨戸が魔法のようにみるみる直っていく。するとまた頭の中に声が響いた
【拠点《無為の家》を得た】
【権能《自動操縦》を得た】
【権能《自動会話》を得た】
【権能《自動操縦》を得た】
【妖木が神木になった、神木は名前を求めています。】
サムは頭に響いた声を反芻し、一つだけどうにも理解できないものがあったので、正直に聞くことにする。 「_んーキャミーさん、神木ってなんですか?」 キャミーはこめかみに手をあてて唸りながら 「_こちらが聞きたいくらいだわ、今度は何をしたのサム」 と言う。するとサムの足の周りを何かが通った、サムはびくりとして飛び退いたが、その何かはかまうことなく、その頭をサムの足に擦り寄せてくる。よくよくみてみるとそれは、、
猫だった。 「_あ、猫、茶トラの猫。」 と取り敢えず手の甲側の匂いを猫に嗅いでもらっていると、猫が頭を擦り寄せてくる。OKをもらえたのでサムは優しく猫を撫でる。 「_君は人懐っこいね。どこからきたのかな?」と聞いていると、キャミーが 「この子だわ、この妖気混じりの神気、この子が神木の精ようね。」 と言うと、萩ノが続ける 「_そう言えば、、、この小屋は元は狩りの際の詰め所としていたそうですが、獣の弑殺所も兼ねていたそうです。それであの木、でしょうか。あの木の幹に獣をくくりつけ血抜きから捌くまでをしていたらいつの間にやら妖木化してしまったとかなんとか、我々に仇なすことはなさそうなので放っておきましたが、さすがはくもがみ様の神通力、見事にご神木にされてしまったようですね。」 「そう、またサムがやったと言うわけね。」 と呆れた声をだすキャミーに、さすがにそれは不可抗力とサムが思っていると猫がひと声ニャーと鳴く。
【神木は名前を求めています。】
「_そうだね、名前だね。雲龍様またお力を貸していただきたく。」 「_よかろう」 「_それでは君は”ユベシ”だ。これから宜しくね。」
【神木を得た】
ユベシはニャーとひと鳴きすると大きく欠伸をして丸くなって眠りだす。サムはキャミーのジトーっとした視線に気がつく 「_僕はただ言われた通り家に名前を付けただけですからね。まさかこんなことになるなんて知りませんでしたからね」 と言い訳する。 「なんだか今日はもう疲れたわ、だけどしょうがないから権能の説明をするわね。 《自動会話》 はあなたがLog Out時にこちらに存在するサムが誰かから話しかけられた時に自動で会話してくれる機能。これはこれまでの会話記録を基にサムが話しそうなことを話してくれるわ。あと、知りたいことを設定しておけば、それとなく聞き出すことも可能よ。自動で会話した内容は、会話Logで確認できるわ。 《自動書記》 はあなたが話した内容を此方の文字で書きおこしてくれる機能。会話Logをそのまま貼り付ければLog Outしても作業を続けてくれるわ。そして 《自動操縦》 は目的地を設定すれば、Log In、Log Out時にかかわらずその場所に向かってくれる。ただ瞬間移動の類ではないから、当然距離に応じて時間がかかる。あと、戦闘データが集まれば、勝手に戦闘を行うことも可能よ。」 と一気にまくしたてるように説明する。
するとサムは板の間に座わり、自動会話と操縦はデータがいるわけか、じゃぁデータ採りに明日は村にでも行ってみるか、あぁあと村に行ってすることはとも考えながらふと 「_そういえば蜘蛛の一族さんたちやユベシのご飯ってどうしましょうか、明日村に行ってみようと思うのですが、なにかあれば貰えるように交渉してきますが。」 と聞いてみる。萩ノは 「_我らのことを考えてくださり、感謝いたします。ですが大丈夫です。我らは神通力のおかげで、特に食事を必要としません。食事を摂ることもありますが、、そうですね。嗜好品と同じ扱いとお考えください。ユベシも本体は木ですし必要ないでしょう。」 と言うと 「_それはいけない」 「それはいけないわ」とサムとキャミーの声が揃い、二人の目が合う。サムは萩ノに目を移し「_食事とは人生の楽しみです。幸福です。食べないと言う選択肢はないですよ。」 「そうよ、さらにお菓子にお茶も必要よ、じゃないと私が楽しくないわ」 と微妙に二人の意見がずれ始める。
「_まぁ、お菓子に関しては別として、嗜好品としても何か好きなものはありますか?」 と質問するとなぜお菓子は別なのかと険しい目つきで睨んでくるキャミー、萩ノはそんな二人のやりとりを見ながら 「_そうですわね。我々は獣の肉を好みますね。お菓子というのは我々は食べたことはないですね。」 と答える。するとキャミーの目がさらに険しくなり 「こうしてはいられないわ、私はこの家にお菓子とお茶の重要性について説明しないと。」 と家を出て行ってしまう。 「_いやお菓子が重要じゃないとは言っていませんよ、まずは3食きちんと食べてから、、、ってもういないか。」
サムはまだ時間があるかなと蜘蛛一族と世間話を始める 「_そういえば、皆さんはそれぞれ何歳なんですか?」 すると 「ふふふ、女性に歳をきくものではないわ」 と萩ノが言う。女性の年齢を聞くのはこの世界でもタブーらしい 「_それは失礼をいたしました。」 とサムが言うと蛍雪が 「_サム、蛍雪、構わない、歳、80」 と胸を張る。 「_おお、蛍雪は若く見えるのに僕の倍も生きているんだね。」 「_そうだ、まだ、若いが、私、人化、人語できる。すごい。」 「_ヌバタマは何歳なんだい?」 「わ、わたくしは180歳で、ございます。」 ヌバタマは恐る恐るといった感じで答える。じっとサムが顔をみると、目が泳ぐ泳ぐ、手もパタパタと動かしている
「_ヌバタマは僕が怖いかい?」
「_い、いいえめっそうもない」 「_サム、コイツ、まだ、人化、慣れてない。」 「_慣れていない?」 「_そう、私、名付け前から、人化、できた。コイツ、名付け、後、人化覚えた。」 とまた胸を張る。どうやら、蛍雪的には人化と人語を解する早さがその者の優劣を決める指針のようだ。 「_そうか教えてくれてありがとう。蛍雪。ヌバタマは慣れないなら蜘蛛のままでも良いんだよ。」 「_い、いえそれでは、くもがみ様についていけませぬ。」 「_ダイフクみたいに肩に乗るでもー」 「_めめめめめっそうもございません。そそそのような罰当たりなことはわたくしにはできませぬ。」 ふときがつくと膝の上にユベシが乗って丸くなる。 「_僕は構わないけどね。でもヌバタマがそう言うなら無理強いはしないよ。そうだ、明日は近くの村に行ってみるつもりなんだけどね。人化の練習がてら一緒に行こうか、蛍雪も一緒に行くかい?」 「わ、わたくしはクモガミ様のお側番、もとよりそのつもりでございます。」 「_蛍雪、昼、眠い。行かない。」 蛍雪は夜行性の蜘蛛のようだ。 「_そうか、あれそう言えば、ダイフクはどこに行ったんだろう?」 「_それでしたら、準備があるとかで一度村の巣に帰ったようですわ。」 と萩ノ。 「_そうでしたか、じゃあ、ついでに迎えに行こうか、ヌバタマ。」 「はいっ。」 「じゃあ、そういうことで今晩はもう失礼しようかな、それでは。」 というとゆっくりと皆の目を見てESCキーを押す。視界がゆっくりと副業部屋へと戻っていく。
サムはテーブルに掛け直すと、新たな出来事をメモすると副業部屋をあとにする。サムは小声で 「戻ったよシホ」 というと険しい目をしたシホと目が合う、さらに気がつけばキャミーが家にいる。 「お菓子が大事じゃないってどういうこと」 と、シホとキャミーからお菓子の重要性について啓蒙されるサムだった。
小一時間続いた啓蒙だが、キャミーが思い出したかのように 「あ、そう言えば、今晩の新たな式と神木の件とかもろもろ含めて総額513万円が支給されるわ。」 と言い 「うわー引くわー。」 とサムとシホが言うのだった。