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第11話:準備は続くよ

6月26日:月曜日:4時起床、今日は趣向を変えて、おにぎりとお茶をもって副業部屋へ、最近いろいろな計画を並行して進めていて頭の中が渋滞してきたので、昨日の葬儀を一段落として、テーブルの上のメモたちをカテゴリーに分けてファイリングしていく作業をする。今まで書いたメモはちりも積もればで、百枚はないだろうが、なかなかな分厚さだ。最初はざっくりカテゴリーに分けて分類する。そこまでをやって、おにぎりを食べて、サイドラインへLog Inする。場所は無為の家、こちらのサムも食事中だった、



「_みんな、おはよう。」 というとそれぞれからおはようと帰ってくる。 「_今日なんだけど、ちょっと頭の中を整理したいから、終日自動操縦にするつもりなんだけど、良いかい?」とサムが言えば 「_サム様、我ら、タマとフクはどうしましょうか」とヌバタマから返事が返ってくる。 「_タマは自動操縦の僕と決闘の練習を、もしゴブリンが警戒ラインにかかるようなら、フクと共に追っ払ってきてくれ。あ、そうだフクにはこれ」とサムはフクにゴブリンとの決闘を経て変化した神具、ゴブリンの怪腕をフクに渡す。この神具はもともとの扇の特性をそのまま引き継いで、持つ者の神通力に応じて風を起こすことができるが、フクは神通力がそれ程では無い為振れば周囲の小石や小枝を相手にぶつける位で、牽制には丁度よい攻撃力となっていて重宝していた。 「_は、お借りいたします。ご主人様。」 「_うん、どうぞ、って言うか、決戦の時だけ渡してくれればいいから、基本フクに預けておくよ。」 「_ななななな、それは恐れ多く。」 「_でも、僕が持っていても意味がないし、それに、、他の誰かに持たせたほうが危ないんだよね。タマも手加減して風刃をとばすレベルだし、ご隠居、萩ノさん、蛍雪が振った日には何が起きるか、、、」 それには少し遠い目をするダイフクだったが、 「_ですが、やはり基本的にはこの家に置いておいて、ご主人様と出かける場合にのみ、ダイフクめが持ち運ぶことにさせてください。」 「_うん、丁度よい落としどころだと思う、管理はお願いね。」 「_ぐぬ、なんだかしてやられた感が、、、」 「_じゃあ、それくらいかな?」 「_おう、我々はいつも通りゆるりとしておるよ。」 「_ではではあとはよろしく。」



さてさて、資料整理だ、大枠で、村関連、式関連、森関連、サイドライン関連で分けて、さらに細分化していく、村をさらに儀式関連、薬関連、研ぎ師関連と振り分けていく、そして分けたらファイリングしていく、副業部屋には空の大きな本棚があるので、すぐに見なくてよいものは万々、置いていく。あの世界の知識がどんどん集まってきているのを目に見えて感じられる。手間ではあるが充実感を感じる。サムは一気にファイリングしてしまうと、いま必要なものだけを残して全て本棚に収める。今の課題はゴブリン関連、決闘計画、蜘蛛の衣計画で、リスクは森の奥の巨大生物についてだ。課題についてはこのまま様子を見ながら進めるだけだが、問題はリスクの方だ、巨大生物については今のところヨモギからの巨大な怪物が出たという情報のみで、本当はその声すら聴いていない。むらかみ達には、ゴブリンから聞いたと言えるわけもなく、声を聴いたと嘘をついたのだった。正直このリスクはそのレベルすら分かっていないが、最悪村人全員が集落を捨てる可能性すら持っている。「だけど、こちらから近づくのはリスクが高すぎるし、村近くに出てきた場合を想定して、避難訓練を実施しておくのが今可能な対策かなぁ。」と独り言をいうと、村人の避難訓練プログラムを書き始めるサム。すると新たな課題が出てくる出てくる。今日一日で終わるかなぁと思うサムであった。



6月27日:火曜日:5時起床、昨晩は多少遅くまで根を詰めすぎてしまった。だがしかし、新たな課題をつぶしていく作業をサムは嫌いではなかった。だからこそ少しやりすぎてしまったのだった。なのでいつもより遅れてサイドラインへとLog Inする。場所は森の中で一人だった、どういう状況かと思っていると、空からゴロゴロとした音が響き、近くでブンっと何かを振るような音と数瞬をおいてズドン!と音が響いてくる。そしてそれに合わせて、サムが鞭を振りピシャビシャン!と音を立てる。困ったことに最近はゴブリンたちも知恵を付けて、サムたちが襲ってはこないと判断してかなかなか逃げなくなってきている。サムたちはゴブリン達にさらに近づくと、ダイフクが必殺の地走り風で小枝を飛ばし、サムは手加減して鞭で打ち、ヌバタマが大蜘蛛化して大きな影をつくってこちらの存在を大きく見せる。そこまでして、ようやく逃げていく、



「_ふう、おつかれみんな。」 「_やや、サム様、お出ででしたか。」 「_ああ、ここは、どの辺だろう?」 「_ここは、アルファグループ近くの警戒ラインでございます。ご主人様。」 「_他に注意ラインや警戒ラインにかかっているグループはいないかい?」 「_はい、今のがまだ注意ラインにいる位で、」 「_そうか、ありがとう。さて、何から始めようかな。。。とりあえず。」とサムはその腰に下げた水筒に向かって話しかける。 「_ガマ仙人、ガマ仙人、お暇でしょうか?」 すると、水筒からチャプンという音が響いて、中からぐいぐいとその蓋がせりあがり、髭を生やしたカエルがでてくる。



「_よう、おまえか。なにかようかよ?」 「_ええ、実はこの森の奥に何やら巨大な生物がいるそうなのですが、何か心当たりはありますか?」 「_なんじゃ、いきなりじゃな、というか吾輩から見ればお前も巨大生物じゃがよ、まぁでも聞きたいことはそういうことではなく、お前から見ても巨大な生物ということかよ?」 「_はい、説明を補完してくださり恐縮です。」 「_んー、でもわからんよ。吾輩の所のお池は、森の奥谷深くまでは移動せんからよ。それに吾輩、基本池を覗いておるからよ。」 「_池になにかいるんですか?」 「_さあ、わからん。」 「_たまには空でも見てみませんか?」 「_見てやってもよいがよ、お前もっと面白いところに行けよ。じゃないと吾輩つまらんもん。」 「_そうですかでも近々は森の中で過ごすつもりですが、それが終ったら町の方には出てみるつもりです。」 「_むー、わかったわかった、森深くに行ったら辺りをみてやることにするよ。でもなにも見つからんくても吾輩のせいではないからよ。町には連れて行けよ。」 「_分かりました、助かります。」 「_うん、ならよいよ。今日はそれだけかよ?」 「_はい、ありがとうございました。」 「_いいか、面白いところに行けよ。じゃあよ。」チャプンと音を立てると、水筒を覗いてももう何もいなかった。 「_さて、、これで保険もかけ終わったし、朝食を食べに、無為の家に戻ろうかみんな。」



6月28日:水曜日:5時起床、カフェオレと水を持って副業部屋へ、部屋の日の光を浴びて背伸びを一つ、植物たちに水を与えて周る。そしてカフェオレを流し込むと早速サイドラインへ、場所は村主の屋敷内、今日は村の避難訓練の概要説明の予定だったが、それはすでに自動操縦が始めていた。むらかみ、村主はサムが持参した避難訓練企画書を見てうなっているところだった。 「_どうでしょう、難しいでしょうか。」 「_うーむ、ここまで大がかりとは思っていなかった。。」 「_まぁまぁ。これはまだ企画の段階でありまして、これをベースに村の実情に合わせて行くのが良いかと。」 「_しかし、よく考えられているとは言えるかの。」 「_ありがとうございます。」サムの出した避難訓練企画書については、詳細は省くが、大まかには以下のようなものだ


 〇訓練内容

  0、訓練開始

  1、サム達による、現場の確認

  2、サム達による、村への通報

  3、村主達による、村人への情報伝達

  4、村人達による、班員の形成と避難人員の確認 (点呼1)

  5、避難係による、避難誘導

  6、村人達による、避難及び搬送

  7、村人達による、避難場所への集合と避難人員の確認(点呼2)

  8、サム達による、逃げ遅れた人等の捜索

  9、訓練の終了と、実施検証


  〇 事前準備

  ・避難経路の策定

  ・避難場所の策定

  ・避難係の策定

  ・避難の班作成

  ・点呼の取り方の練習

  ・自力で避難できない人の確認と搬送対応者の選定

  ・情報伝達経路の策定


「_まぁ、一度、むらかみ様や村主様そしてそのほか村の偉い方々と揉んでみてください。あと確かに訓練自体は大がかりなものになりますので、これ自体を村の祭りにしてしまう、もしくは既存の祭りに盛り込むというのも良いのかもしれません。もしそうする場合は、主に肉の準備はお任せください。」 「_祭りか、面白そうではあるの。」 「_はい、森の奥に得体のしれぬ怪物がいると村人が知っては日々ストレスとなりかねないので、訓練自体は遊戯の一環として説明したほうが浸透しやすいのではないかと考えています。」 「_まてまて、まだお主の資料を読み終わっておらん、話を先に進めるな」と村主。 「_そうですね。各項目とそれぞれの意義と詳細説明も書いていますので、全体把握は時間がかかると思います。なので、この件の詳細はまた日を改めていたしましょう。」 「_そうか、ではそれまでに確認しておこう。」 「_はい、よろしくお願いいたします。」 「_やれやれ、マレヒトガミは忙しい奴じゃの。」 「_ははは、まぁしかし、村人の安全は何にも代えられぬ重要事ですので、それでは失礼いたします。」

と、村主の屋敷をあとにする。避難訓練は村の規模が規模なのでやるとなると大ごとだ、だからもっと否定的な意見が出てくるかと思ったが、概ね受け入れられたようで助かった。村の偉い人たちが村人のことを大事に考えているということなのだろう、良い村だ。と思うサムであった。



「_サム様、今よろしいでしょうか」 「_なんだい、タマ。」 「_はい、母上から防具の素体ができたとのこと、出来れば一度打ち合わせをしたいそうです。」 「_そうか、萩ノさん流石仕事が早いね。でも今朝はもう向こうに戻る時間だから、今夜打ち合わせをしよう。」 「_承知いたしました。そう伝えます。」




6月28日:水曜日:21時、ノドカは眠り、シホは明日の食事の下ごしらえを済ませ、ゆっくりと海外ドラマを見始める頃を見計らって、副業部屋へと移るサム。Log In前に、萩ノさんにお願いした防具の依頼書に目を通してからサイドラインへ、サムの視界は無為の家の文机の上、今は自動書記に様々な薬草の群生場所の地図を作らせている。これができればいざというときに助かるので、自分用と、村用に2版準備予定だ。相変わらず、自動書記の機能は素晴らしいと思うが、今の目的は防具の打ち合わせなので、作業をいったん切り上げる。



「_みなさん、こんばんわ。」というと、みなから挨拶が返ってくる。 「_サムさん、お待ちしておりましたわ。こちらが防具の素体になります。」と土間のテーブルの上を指す萩ノ、そこには、まるでフェンシングの防具と剣道の防具を合わせたような物が置いてある。 「_ああ、いいですね。着てみても良いですか?」 「_ええ、どうぞどうぞ。」と言われて、着始めるサム。



防具は今はまだ部位ごとに分かれており、まずは胴部分、ここは槍の一撃を食らっても大丈夫なように二層構造になっていて、表面は防刃性の高い布を固く細かく織ってもらっている。軽く叩くとコツコツと音がする。そして裏面は耐衝撃用に柔らかすぎずそれでいて固すぎずといった絶妙なクッション性を持っている。装着してみると、ピッタリとフィットして、体をひねってもそれにちゃんと防具がついてくる、だが流石にある程度可動域は狭くなっている感はあるが、まぁ許容範囲内だろう、大事なのは耐久性なのだから。次は足部分、こちらは、太ももから膝部分は胴体部分と同じように、防刃性と耐衝撃の二層構造だが、より動きやすいように耐衝撃性は少し控えめにしている。ひざ下は、大蜘蛛化したタマの上である程度自由に動けるように、伸縮性と防刃性を兼ね揃えた素材で構成されていて、履いてみるとまるで競輪選手かというような足になる。軽く腿上げをしたり跳んでみたり、そして手で太ももを殴ってみるが手が痛くなるのみで、動きやすさと耐久性を兼ね揃えた作りになっていた。その次は右腕部分、ここは少し特殊な作りで肩肘手首が完全に固定されている。ここは同部分よりもさらに耐衝撃性を高くしていてそれは、相手の攻撃を受けても大丈夫な用と、自分の攻撃の衝撃を吸収できるようにしている。対する左腕は、馬上でバランスを取りやすいように可動性のみ重視で念のため、剣道の小手のようなものがついている。頭部分はフェンシングの防具をベースにしていて、一見視界が塞がっているように見えて、細かい穴が開いており、向こうが透けて見える。造りは固く防刃性のみ追求した構成になっている。



「_いいですね。ほぼ理想通り、いや理想以上の出来です。あとは、各部位のつなぎの部分ですね。」 「_はい、そこに迷って、サムさんにお時間を頂きたかったのです。」 「_そうですね。。。まず首部分は弱点になりますので、前面は胴体部と同様の素材で、後面は耐衝撃性のみで、あとは右腕部同様にガチガチに固定しちゃってください。方部分はーーー」 と、打ち合わせは続く




6月29日:木曜日:6時起床、今日は本業の方で重要な会議の資料作成があるので、Lon Inなし、昨夜連絡済




6月30日:金曜日:6時起床、今日は本業の方で重要な会議があるので、Lon Inなし、昨夜連絡済




7月1日:土曜日:4時起床、コーヒーと白ごま黄な粉クッキーを持って、副業部屋へ、昨夜の報告で防具の完成品は目にしていた、今日はその実地訓練だ。気が引きしまる。サムは防具制作計画表に再度目を通し、フィードバック用のメモを取り出す。実際に戦ってみるといろいろと課題が出てくるかもしれないと思いながらクッキーを口に運ぶ、クッキーはサクサクしていて、歯触りが楽しい、そして、ゴマと黄な粉の香りがほのかに香る、何枚でも食べれてしまう。サムは持ってきたクッキーとコーヒーを食し終えると、手をお絞りで拭いて、サイドラインへと向かう。目指すはアルファグループの集落である。


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