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第6話:ゴブリンの争い

新たに神を再誕させてしまったサムが無為の家に戻ると。。。


「_サム、今度は何?」 とキャミー。 「あぁ、やっぱり来てましたか。」 とサム。 「_ じゃあ、何かやった自覚はある訳ね。」 「_何といって良いやら、、、ただカエルのお爺さんに名前を付けただけのつもりだったんですけどね。まぁ、怪しさが全くなかったとは言いませんよ。でもまさか古い神だなんて、、だれが思います?」 と話していると、雲龍が顔を見せる。「_おお、お主は、やっと池の番から逃れたのかの?」 「_だれじゃよ、このジジイ?なんでそのことを知っておるかよ。」 とガマが返す。すると、雲龍の目が複眼に変わり、その背中から暗雲が立ち込めてくる。ゴゴゴゴゴと地響きがきこえてくる。 「_これでもわからんかの?」



「_ああ、お主かよ。思い出したよーーー」 と真面目な会話の途中で、ユベシがサムの肩めがけて跳んできて、『パクッ 』 とガマ仙人を丸呑みしてしまう。 「_あ。ちょっとちょっとユベシ!出して!ぺっとして!」 とユベシの捕まえようとするが、ささっと家の方へ入ってしまう。すぐに追いかけようとすると、チャプンと水筒から音がして、そこからガマ仙人の声が聞こえてくる。 「_なんじゃ、お前の周りは危険が一杯じゃよ、もう池に帰るじゃよ、そこのジジイもまたじゃよ。」 そしてまたチャプンと聴こえると、それっきり静かになった。 「_なんか、無事だった様ですね。良かった。。。ご隠居、お知り合いでしたか。」 「_ああ。大昔のの。」 と言うと、ほっほっほと笑いながら去っていく、どうも聞かれたくなさそうなので、それ以上は聞かないことにするサムであった。「_。。。えーと、なんでしたっけキャミーさん。」 「うーん、もういいわ。ただ今後は、いや今後も気を付けて頂戴。」






6月18日:日曜日:四時起床、バームクーヘン一切れとホットミルクをもって副業部屋へ、今朝は、部屋の窓全てから日が差している。サムは軽食をさっと食べると、すぐにサイドラインへLog Inする。今日も、ゴブリンの集落探しだ、アルファとブラボーの集落は発見したので、残るは南東から東に広がるチャーリーとデルタだ、サム達は両グループの生息域が重なるところまで来ると、水筒に向かって 「_ガマ仙人、ガマ仙人、お力をお貸しください。」 と話しかけると。水筒から水に飛び込む『トプン。』という音が響くと、水筒の蓋が内側からぐいぐいと開けられて、そこからガマ仙人がでてくる。 「_なんじゃよ?」 「_ガマ仙人、おはようございます。いきなりで申し訳ないですが、この辺りにゴブリンの集落は無いですか?」「 _朝もはよから呼び出したかと思ったら、またそれかよ?お前はゴブリンの仲間にでもなりたいのかよ?」 「_仲間ですか?そうですね。仲間になって会話できれば手っ取り早いんですけどね。そうもいかないでしょうし、、」 「_まぁ、ゴブリンは何にも属していないから、無理じゃろよ。で、この辺のゴブリンの集落か、、、確かこの辺はなかったと思うよ。もっともっと奥だったかと思うよ。」 「_もっと奥に行ったら、分かります?」 「_お前、そんな何も目印のない森で、、、あぁでも昔のでっかい集落跡を使っとったはずじゃ、じゃから森がこんもりしてるんじゃないかよ?」 



「_もりがこんもり、ですか?」 「_ダ、ダジャレじゃないよ。」 とすこし赤くなるガマ仙人。 「_失礼しました。ではこんもりしている所を探してみます。ありがとうございました。」 「_え、これだけかよ!暇だからしばらくついてくよ。」 「_えーと、それは心強いですね。でも、ゴブリンが近くにいるときは静かにしていて下さいね。」 「_モチロンじゃよ。これ、そこの小鳥よ、こちらをじっと見るでない、落ち着かないんじゃよ。」 「_フク、程々にね。」 「_ピッ」 「_さて、ヌバタマとりあえず、EASTに向かってみよう。」 と一行は進む、霧深き森の樹上を、大蜘蛛化したヌバタマが枝から枝へ移る度に木の葉についた水滴が、 『ザザザ、ザザザ』 、たまに 『チャプン』 と落ちる。森の音の残りはホーホーと鳴く鳥の鳴き声が響くのみだ。



水の音と鳥の鳴き声を聞きながら15分程歩いたろうか、ガマ仙人がサムに話しかける。 「_して、お前はゴブリンなんぞ追いかけて何をするつもりじゃよ、まさか蜘蛛一族の様に手下にでもするつもりかよ。」 「_手下?そんなこととんでもない。それに蜘蛛一族は僕の守り神様であって、手下ではないですよ。」 「_あのジジイを神としたか、、、お前の今後が思いやられるよ。」 とボソリと言うが、それはヌバタマが樹上を歩く音にかき消される。その声はヌバタマには聞こえていたが、サムに届いていない様だと思うと、黙っていることにした。サムはサムで、周辺地図の更新と周囲に小高くなっている所が無いかを見るのに集中していたので気が付かなかった。。



更に東に進みながら、視界に小高い土地があると様子を見に行く、というのを続けて一時間程経った頃、視界に石の建造物が目に入る。それはすこし近づいてみると、恐ろしく広い遺跡であることが分かってくる。それは半分ほど森に飲まれていたが、幾つもの石の塔が立ち並び、500メートル四方の壁を作っており、そして壁の内側その中央にはひときわ高い、石のビラミッドが築かれているのが見て取れた。



石の塔の近くまで来ると、ゴブリン達の声が聞こえてくる。中を覗きたい所だが、それ以上は背の高い木がなく身を隠せないので、覗ける場所を探す。一箇所、塀と塔が崩れている箇所がありそこに回り込む。そこからはかろうじて中を見渡せた。サムがここにしようと小声で言うと、静かにヌバタマが木の葉と糸で、樹上に木の葉のカーテンを作り上げる。次はハンモックを作り上げる、ヌバタマは30分程で立て続けにそれらを作り上げていく、サムはその作業を見ながら、その手は、遺跡の全景を木の板に書き上げていく、次は、周辺地図の更新だ、その地図に遺跡を書き込んだ時、サムはこの遺跡が正確に東西南北を向いて建てられていることに気がつく、東西南北に向けてそれぞれ門があり、サム達は中央から見て南西の箇所に拠点を作っていた。なので広く見渡せても全体の四分の一でしか無いことになる。その四分の一だけでも、これまで見てきた中で最大のブラボーグループの集落よりも広く、ゴブリンの数も多い、それまでのグループでも感じたことだが、ゴブリンはこれほどの集団を形成し維持できるものなのかと、改めて感じる。



「_いやぁ、ゴブリンってすごいね。それにしてもこの規模、食料はどうしているんだろう?狩猟だけでまかなえるものかな?」 とサムは次から次に新たな疑問を感じる。それにはヌバタマも 「_サム様、奴らの食物まで気になって調べていては、何も終わりませぬ。。。」 「_いや、大事だよ。この規模だよ?他の集落を見ても感じたけど、彼らは何らかの食物を育てているんじゃ無いかな。」 「_ご主人様、タマめの言うことも一理ありまする。ゴブリンの食物を調べても、村主様はお喜びにはならないかと。」 「_うーん。そうかなぁ、でももしこの数で生活を維持できているならば、わざわざ人の村に来る必要ってあるのかなーー。」 と話していると、ゴブリンの集落から奇声が上がり、それは地鳴りとなって、サム達の元にまで届く、サム達は警戒し、逃げる準備をするが、その奇声がこちらを向いてくることはなかった。



中をみると、ゴブリンライダー同士が向かい合って対峙していた、一方のゴブリンとイノシシが雄叫びを上げれば、もう一方のゴブリンとイノシシも唸りをあげる。周囲のゴブリンは彼らから一定の距離を置いて、歓声を上げている様に見える。その時ゴブリンライダーの間を一陣の風が吹き抜けた。すると、ゴブリンライダーが互いに向かって雄叫びをあげながら駆け出して行く、そして互いにぶつかる段になると、イノシシが前足を上げてそしてそのまま頭を下げて互いの頭をぶつける。周囲に 『ガッコン!!』 という音が響き渡る。そしてイノシシ上のゴブリン達は手に持った武器、槍で互いに突き刺し合い、両方の槍がそれると、今度はゴブリン同士が頭をぶつけ合い、睨みを効かせる。両者一向に引く気配は見えなかったが、何かを合図にまた互いにスタート地点に戻る。そして一陣の風を合図にまた力強くぶつかり合う。サムは中世の馬上槍試合と相撲が混じった様なものとイメージした。そしてそのぶつかり合いは何度も続き、イノシシは目や鼻や耳から出血し、それにまたがるゴブリン達も槍や頭突きによる攻撃で血を流す。そしてそれが続く程に歓声もまた大きくなる。何度目のぶつかり合いだろうか、両者はもうふらつきを隠せない程になっていたが、風を合図にぶつかり合うことを止めようともしていなかった、そしてその時は訪れる。



両者これまでで1番大きな雄叫びをあげると、互いに全力で走って行く、そしてぶつかり、そこから槍が伸びる、それは今度は両者逸れることなく、一方の伸ばした槍の方が先にもう一方の胸に突き刺さる。それでもなおイノシシは前進をやめない。そのイノシシの上のゴブリンは事切れたのか、ゆっくりと倒れこむ、そこはもう血だまりになっていて、おおきく 『ズドーン!!』 と大きな音を立てて倒れこむのと同時に 『バシャーン!!』 と血飛沫が上がる。それを見ていた一方のイノシシは唸りをあげ、それにのるゴブリンは雄叫びを高々とあげる。勝者が決まったのだ。勝者の雄叫びに合わせて周囲のゴブリン達も歓声をあげる。そこからは周りのゴブリン達が負けた方が乗っていたイノシシめがけて駆け寄り、攻撃を加えて行く、イノシシは必死の抵抗を見せるが、それまでのダメージがたたったか、すぐに座り込んでしまう。ああ、負けた方は食われてしまうのかと見ていると、一匹の巨大なゴブリンが駆け寄りその手に持った棍棒を振り回し、周囲に群がったゴブリン達を一掃してしまう。それ以降、近づこうとするゴブリンにはその巨大な一撃がお見舞いされ、周囲のゴブリンはどんどん引いて距離を置いて行く。



サムは、それを視界の隅で見ていた、なぜならば、先ほどの勝負で勝った方のゴブリンライダーが、ゴブリンもイノシシも一回り大きくなるのを目にしていたからだ。それを見たサムは 「_タマ、フク、見ていたかい、今回も、勝った方のゴブリンが大きくなったよ。」 と同意を求める。しかし両者とも、ゴブリンライダー達の戦いにのまれたのか、言葉を発せないでいた。するとガマ仙人がサムの言葉に反応する。 「_勝者に神通力が集まった様じゃよ。」 「_神通力が集まる?敗者から勝者にですか?」 「_それもあるが、この場にある神通力も集まった様に見えたよ。」 「_その場にある?」 「_そうじゃよ、周りで見ていたゴブリンどもの神通力もあるし、空気中にもあるんじゃよ、特にこの場所の様に生物の集まる場所にはよ。」 「_空気中にも、、、神通力は全てのものに在る。全ての空間にもある。ということですか?」 「_うん。それはそういうものじゃよ。」 「_そうか、むらかみ様が、人が少なくて神通力を賄えないと言っていたのは、そういう事か…?。神通力は人から人へ、ものからものへ移るもの。村では信奉対象に、ゴブリンの集落ではより強いものに。。。ということは。。。」 「_サム様、サム様。」 「_ん?なんだいタマ。」 「_また、戦いが始まる様です。今度はゴブリンライダーでは無いようです。」



「_あ、ご主人様、あのゴブリンをみてください。あれはghostの置いていった杖と同じでは無いでしょうか。」 それを聞いて、サムが戦いの中心に目を移すす。すると二匹のゴブリンが一定の距離を置いて向かい合って立っていた。一方は細い木の棒を、もう一方は確かにghostの置いていった干からびた腕を手にしていた。周囲のゴブリン達は気のせいか、先ほどのゴブリンライダーの時よりも距離をとって静かに眺めている。暫く見合っていただろうか、細い棒を持ったゴブリンが先に動く、その杖を天にかざしたかと思うと相手に向かって振り下ろす。すると大きな風の塊が巻き起こり、周囲の小石を巻き込みながら相手に向かって飛んでいく。干からびた腕を持ったゴブリンはその杖を横に薙ぐ、するとたちまちにそれまで巻き起こっていた風の塊が断ち切られ、そのまま、細い棒を持った方のゴブリンの首が飛ぶ、さらにその後ろにある遺跡部分の石も削る。勝負は一瞬だった。勝ったゴブリン、いやゴブリンメイジは勝ち名乗りすら上げず、ゆっくりと歩き、負けたゴブリンメイジの首を持って立ち去って行く。周囲のゴブリン達は静かにそれを見送るのみであった。



「_す、すごいね。あんなことまで出来るのか。。風の刃とでも言えば良いのかな。なんだかさらに上位の風の神通力という感じだね。それに、あの首、どうするんだろう?」 と感嘆の声をあげるサムにヌバタマは 「_もしかしたら、あれを首飾りにするのかもしれませんよ。」 と答えればダイフクも 「_ご主人様、あれを、先ほど負けたゴブリンライダーの首も無くなっております。」 と言う。「_そうか、、、首を、、、タマの言う通りかもね。敗者とは言え、相当な神通力を持っていたはず。それを使って杖や首飾りを作れば、さらに神通力が得られそうだよね。でもそうすると、、なぜーー」 「_なぜ、サム様にその首飾りと杖を渡しにきたのか?ですか?」 「_そう。」 「_まさか、ご主人様に戦えとでも言うのでしょうか。」 「_なにそれ、やだねぇ。。。。でもそうか、もしかするとそうなのかもしれない。。。ね。」 「お前、おいお前。」 「_はい、なんでしょうガマ仙人?」 「_その口閉じた方が良いよ。」 「_へ?」 と気がつくと、先ほどまで静かに観客をしていたゴブリン達がこちらを見て一斉に呻き声を上げていた。そしてその様子をみた周囲のゴブリンがさらに集まってくる。 「_こりゃまずいよ。」 とガマ仙人はそう言うと、『チャプン』という音を立てて水筒から姿を消す。 「_タマ、フク、逃げよう。」 と言う頃には大風や、矢が飛んできていた。ヌバタマは木の葉のカーテンを破るとそのまま西へと樹上を駆け抜けて行く。



十分に距離をとり、安全を確認したのち、無為の家に向かうことにする。その霧も晴れた道中、 「_いや、すごい戦いだったね。」 「_そうですね。ご主人様。しかし、ゴブリン達があれほどの力を持っていようとは、むらかみ様や村主様の式と比較しても引けを取らぬかも、、、いやしかしそんなはずは、、、」 「_。。。」 「_どうしたんだい、タマ?」 「_…、いや、さきほどフクが申した、サム様があの戦いに参加するとした場合を考えておりました。」 「_いや、タマめよ、あれは、わたくしめの冗談ーー」 「_であれば良いが、もしそうなった場合、わたくしがサム様を乗せてゴブリンライダーと戦うとすれば、フクよお前はゴブリンメイジと戦うことになるのではないか?」 その返しにはビクリとするダイフク。 「_ただの観客として呼ばれている可能性は無いかな。」 とサム。 「_そうですね。その可能性もあるかもしれません。」 「_そうだ、タマめよ、そうに違いない。」 「_何が1番良いだろうねぇ。あのゴブリンライダーやゴブリンメイジが大挙して村に押し寄せてくるよりは、個人戦の方が楽かもしれないし、戦わずに観戦で済めば、それはそれで良いし、だが、準備は怠れないね。最悪の事態も考えておかないと。。。うーん考えることが多いねぇ。」 「_は、そうだ!ご主人様!!」 「_なんだいフク。」 「_今度、ゴブリンの集落に首飾りと杖を持って行くと言うのはどうでしょう。」 「_え、危なくない?」 「_いや、行ってみれば、この際はっきりして良いかもしれませんよ。アルファグループの集落ならば、何かあってもサム様はわたくしが守りますし、集落の中央にも木が生えておりますので、逃げようと思えばすぐ逃げられますし。」 「_タマもフクもなんだかイケイケだねぇ、まぁ、ゴブリン達の戦力が想定よりも大幅に高いことは十分に分かったからね、何かしら対策は必要だろうね。ならば、こちらから出向いてみるのも一手としてはありなのかもな。んーちょっと週明けから準備してみようか。。」



サム達一行は無為の家に到着すると、朝食を取り始める。主食は何かの穀物を粉にしたものを水に溶いて薄く焼いたもので、トルティーヤに近い食べ物だろうか。それを豆のスープに浸して食べる。豆のスープにはスパイスが効いている。そのほかには果物などが食卓に並んでいる。みんなで食べながら色々な話をする。ゴブリンの話はもちろん、天気や今日はユベシを見かけない話、最近夜の出動が少なくて出番が無いと嘆いている蛍雪の話。そんなたわいない会話を楽しむ。食後のお茶を飲みながら、週明けからの計画を相談し始める。



「_何?ゴブリンの集落に出向くじゃと?」 「_えぇ、ghostが首飾りと杖を置いていった意図を知りたくてですね。」 「_それだと、戦いになるのではありませんこと?」 「_その可能性はありますね。」 「_でしたら、わたくしめが腕によりをかけて防具を準備しましょう。武器はどうされますか、新作のムチもありましてよ。」 「_母上、ゴブリンとの争いには槍が必要そうです。」 「_槍ですか。。それはわたくしの出る幕ではなさそうね。」 「_ご主人様、村の研ぎ師のところに行くのはどうでしょうか?」 「_そうだね。トウギさんのところに昼過ぎにでも行ってみようか。ついでにむらかみ様や村主様にゴブリンの集落が新たに2つ発見できたことも報告しておきたいしね。近々はそんなところかな。」 「_むらかみ様、村主様をついでとは、、ご主人様。。」 「_あ、失礼失礼。」 「_ご主人様は、我々は大事にしてくれますのに、、あまり、むらかみ様、村主様を軽視されては困ります。」 「_そうだね。」 確かにサムは、むらかみ達のことを完全に信用はしていないのだが、それが表に出すぎるのはまずい、特に、本人達や、村とサムの仲介者たるダイフクにもそういった態度を見せてしまうのは、いたずらに敵を増やすことになりかねない。実際、前回のむらかみ達との話し合いでこちらの印象が悪くなるのは感じ取った。再び注意しようと思うサム。 「_フクよ。僕は村のことは誓って軽視していないよ。安心してほしい。」 で有れば良いのですと頰を膨らますダイフクであった。 「_じゃあ、一旦抜けるね。フクよ。手間を掛けるけど、むらかみ様達に、事前に連絡しておいてもらえるかい?」 「_は、承りました。」 「_それじゃ。」 とLog Outするサムであった。



副業部屋を抜けて、自宅に戻るサム、すると父を見つけてはしゃぐノドカが「あーあー」と言う。そのノドカをさっと抱き上げると「ただいま、ただいま。」と言うサム。その様子を見ていたシホは「おかえりなさい、サム。丁度ご飯ができているわ、みんなで一緒に食べましょう。あと今日は昼前から私とノドカは実家に行くから、お昼は適当に食べてね。袋麺でもいいけど、ちゃんと野菜も食べてね。あとあと、副業するのもいいけど、程々にね。」「はい。」とこちらの家族との朝食が始まる。


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