表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一億円当たったから彼女とだらだらしてみる。  作者: 西順


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/29

アメリカン

 叶野 譲は彼女である。

 彼女星系第5番惑星『彼女』からやって来た、彼女による彼女の為の彼女改革を遂行する彼女(エージェント)だ。

 だがそれも仮の姿だと言われている。

 本当は既に絶滅した幻の珍獣『彼女』だとか、古代に海に沈んだ大陸『彼女』の生き残りだとか、とかく彼女とは謎の多い生き物である。

 そんな彼女だから、譲と太郎は食の趣味がちょっと違っているのも仕方ない。


「コーヒーでいい?」


 冷蔵庫からコーヒーの900ミリリットルのペットボトルを取り出した太郎に対して、譲の顔は何で? と物語っていた。何せ今譲が用意しているのはカップラーメンだからだ。

「はあ」と嘆息しながら譲は蓋の上に箸を置くと、冷蔵庫から野菜ジュースを取り出した。


「カップ麺にコーヒーは違くない? って何やってるの?」


 譲が目にしたのは、更に驚く光景だった。太郎がペットボトルのコーヒーを水で薄めているのだ。


「え? 何が?」

「普通そのタイプのコーヒーは水で薄めないでしょ?」

「マジで? 俺今までずっと水で薄めて飲んできたんだけど」


 と言いつつ太郎は水で薄めたコーヒーを一口飲む。


「問題なし。アメリカンって事で」


 言って太郎は口を付けたコーヒーの入ったコップを飲んでみろと譲に差し出す。

 美味しい訳無いと思いながらも差し出されたコーヒーを飲んでみる譲。


「…………悪くないかも」

「だろ?」


 確かにアメリカンと言われたら納得してしまうかもしれない。と譲は思った。しかし、


「コーヒーとラーメンは無理」


 譲のコップにもコーヒーを注ごうとした太郎に、譲は待ったを掛けるのだった。


 食後にミカンを食べながら譲は思った。


「そういえばタロちゃんってマックもコーヒー派だったっけ」


 家ではよくコーラを飲んでいる太郎も、何故かマックではコーヒー一択である。冬の今頃ならそれも分かるが、暖かい日でもアイスコーヒーを頼んでいた。


「ああ、うん。さっきので分かったと思うけど、コーヒーは薄まっても不味くならないからな。コーラとかアイスティーだと氷で薄まって不味くなるんだよ」


 なるほど。単に趣味嗜好の問題かもしれないが妙な説得力がある。多分これからはマックに行ったらコーヒーを頼むようになるのだろう。と譲は感じていた。

 ミカンを一つ食べ終わり、もう一つ食べるか迷う譲。太郎の方を見ると既に二つ目に突入している。譲も二つ目を食べる事にした。

 何せミカンはまだ大量にある。太郎が年末にスーパーで段ボール入りを買ってきたからだ。今時ミカンを段ボール買いする人間も珍しい上に、太郎は車を持っていない。ミカンを抱えてえっちらおっちら歩いていた後ろ姿は、微笑ましいものがあった。


「タロちゃんは車の免許取らないの?」

「ああ、どっか行きたいとかそういうの?」

「いや、行きたいなら私免許あるし私が運転してもいいけど」

「え? 免許持ってるの?」

「うん。親が身分証として持っとけって。タロちゃんも身分証代わりに取っとかないのかなって」

「ああ、確かに。色々面倒臭いっちゃ面倒臭いけど、慣れちゃったからなあ。そして取りに行く為に教習所に通うのがまた面倒臭い」

「確かに。面倒臭かった」

「…………やっぱいいかな」

「そうだね」


 そのまま二人はこたつで横になり、午睡に落ちるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ