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冒険者ギルド

 目覚めてから手早く着替え、階段を降りた。


「チノ、留守番を頼む。オレは冒険者ギルドに行ってくるから」

「朝ご飯はどうするのですか?」


 チノは13歳にして、二人分の食事を作ってくれている。実にありがたいことだ。


「いや、いい。外に出るついでに、どこかでつまんで来るから」

「了解なのです。それじゃあ、いってらっしゃーい」


 チノが見送りながら、手を振った。

 オレは自宅がある路地裏から、目抜き通りへと出て、冒険者ギルドに向かった。


 冒険者ギルドに着き、扉を開ける。

 受付カウンターの中には、お姉さんがいてにこやかな顔をしている。


「人手が必要だ。冒険者の募集をしたい」


 オレは受付嬢に切り出した。


「かしこまりましたー。どのような職業の方が必要ですか?」


 受付嬢は愛想よく対応する。


「冒険者ランクA以上の剣士と魔法使いと僧侶が必要だ」

「かしこまりましたー。と、言いたいところですが、Aクラス以上の冒険者はそうそういませんよ?」

「分かっている。その上での相談だ。Sクラス以上だと尚良しだ」

「はぁ、Aクラスまたは、Sクラス以上の冒険者ですか。Sクラスの方だとほぼ見込みはありませんが、一応、募集の張り紙は掲示板に貼っておきますね。それに冒険者ランクが上がりますと、雇った冒険者に高い報酬を支払わなければなりませんよ?」

「それは分かっている。月給で50万ダラーは保証だ。あと、一件の成功報酬につき、200万ダラーを月給とは別に支払う」

「悪くはない条件でしょう。ならばそれで募集をしてみますね。必要事項を申込書に明記してください」

「了解した」


 オレは申込書に住所、氏名、依頼内容を記載した。

 申込書が受理されると、手数料を受付嬢に支払い、冒険者ギルドを後にした。


 その足で事務所に行くと、扉の鍵が開いていた。どうやらチノのやつが先に来て、鍵を開けておいたらしい。

 オレは扉を開け、中に入り、客間に入った。

 取り敢えずソファーに腰を掛け、そこで落ち着いた。


 客間の扉が開き、チノが中に入ってくる。手には白い皿を持っていて、その上にサンドイッチが乗っていた。


「どうせ外で食べてこなかったのですよね?」

「やれやれ。チノにはなんでもお見通しってわけか」


 テーブルの上に置かれたサンドイッチに手を伸ばすと、チノから手を叩かれた。


「いただきますでしょ?」

「う……い、いただきます」

「お手拭きも持ってきたので、それでお手々を拭いてから食べるのですよ」

「はい」


 素直に返事する。全く、チノには頭が上がらないな。


 サンドイッチを食べ終わり、仕事の書類に目を通していく。

 人探しに、成り金貴族の屋敷から盗難された絵画の行方を捜すこと。2つの案件か。

 やれやれ。これじゃ、そのうちオレ一人では仕事に追い付かなくなるぞ。パーティーメンバーの募集だけじゃなく、仕事の助手も募集しなきゃな。


 頭をガリガリ掻いていると、扉がノックされた。オレは扉に向かい、ぶっきら棒に「どうぞ」と声をかけた。

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