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盗賊ギルド

 事務所を出て、盗賊ギルドへ向かった。そこの頭領をしているゲバラとは、孤児院からの腐れ縁だ。

 今のオレ達は持ちつ持たれつ。

 オレが盗賊ギルドで手に余る依頼を引き受けたり、逆にオレが盗賊ギルドから情報を買ったりしている。


 盗賊ギルドの扉を開けると、受付カウンターにゲバラがいた。


「よぉ、久しぶり兄弟。なんだって? 王都では相当コケにされたらしいじゃねーか」

「まぁな」


 オレはやれやれと両肩を上げた。


「で、今日は何の用だ?」

「トレモロ男爵の身辺調査と、彼の屋敷の調査を依頼したい」

「なんだよ? 身辺調査なら、お前の得意とする分野だろ?」

「まぁ、そうなんだけどな。今回は訳があって。なるべくトレモロの奴に、オレが動いていることを悟られたくない」

「成程、そういう理由か。そんじゃあ、引き受けた。ウチのギルドにかかれば、トレモロとやらの調査は明日にでも終わるだろう」

「それは頼もしいな。宜しく頼むぜ」


 それから、オレとゲバラは報酬額で揉めた。業突く張りのゲバラは、100万ダラーの調査費用を吹っかけてきやがった。おれは50万ダラーで譲らない。

 結果的に、調査費用は60万で落ち着き、契約成立。

 ゲバラと握手をしてから、盗賊ギルドを出た。


 翌日の夕刻。早くもトレモロに関しての調査レポートが事務所に届けられた。この辺の仕事の確かさは、流石盗賊ギルドである。


 オレはデスクの後ろにある皮張りの椅子に腰を掛け、チノが淹れてくれた紅茶を口に含みながらレポートを捲っていく。


 ・トレモロの屋敷は、王都から少し離れた別荘地にある。

 ・トレモロの私室は、二階右中央の部屋だと思われる。昨晩、そこから夜中まで灯りが漏れていた。

 ・屋敷には、魔道センサーが張り巡らされており、侵入は容易ではない。

 

 成程と頷く。まず、前者の情報はタイムリーだ。王都の中にではなく、王都から少し離れた別荘地に奴の屋敷があるのはありがたい。街中の屋敷で盗みを働くのと、郊外の別荘地でやるのとでは、難易度に雲泥の差がある。


 さて、問題は後者だ。魔道センサーがあるのは厄介だ。

 魔道センサーは、侵入者がいたら即座に屋敷の中で警報が鳴る。

 敵はこれで侵入者を察知し、万全構えで侵入者を撃退することが出来る。


 さて、これは困ったな。


 トレモロを狙ったのは、依頼もあったからそうなのだが、それより奴自身が勇者パーティーでは一番弱く、低レベルであったことも起因している。

 奴の冒険者ランクはBで、レベルは110しかない。そもそも弓の腕前も大したことはない。Bランクで弓使いが覚えられる<強弓>のスキルが役に立っていただけだ。


 だが、奴がその手に「聖なる弓」を持ったら話は別だ。なにせ、使用者の腕が下手だろうが、弓の力で百発百中になるのだから。

 トレモロの矢で針鼠になるのは、御免被る。


 だからこそ、魔道センサーに触れ、奴が侵入者を警戒し、聖なる弓を手に持たせることだけは避けたい。

 まぁ、オレの動体視力なら矢が来ても、スローモーションのように見えるが、用心するに越したことはないだろう。


 さて、いかにしてセンサーをかいくぐるか?


 思わぬ難問にオレは眉をひそめた。

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