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第13話:KZプロモーション

 オフィスに戻った古谷、チャーリー、新庄、下嶋はそれぞれが入手した情報を仲井戸に報告した。

 その後、下嶋からダークウェブ上にあるキラーゼロに関連するサイトについての報告があった。

 ダークウェブとは、インターネットを使用しているがアクセスするために特別なソフトウェア、設定、認証などが必要なコンピュータネットワークに存在するワールドワイドウェブコンテンツを指す。

 下嶋のパソコンのモニタに表示されている内容がオフィス内の大画面モニタに映し出された。

「これがダークウェブ上に存在するキラーゼロに関連するサイト『KZプロモーション』です。『KZ』はおそらくキラーゼロの略称やと思います」

 KZプロモーションのサイトは、殺し屋のキラーゼロに関するサイトに似つかわしくない爽やかな印象を感じさせる色使いのサイトだった。

 サイトには様々な国籍の老若男女のぼかしの入った顔写真とプロフィールが掲載されていた。

「このサイトに掲載されている者たち全員がキラーゼロです」

「まるで外国人タレント事務所のサイトみたいですね」

「そうなんや。この爽やかさは逆に不気味やわ。このサイトの構築に携わったクラッカーの話によると、我々が使用しているものと同じダークウェブ用のブラウザを所有しているユーザーを顧客対象としていて、サイトにユーザー登録することによってユーザー用ページが設定される。その後のやり取りはユーザー用ページ内で行われるそうだ」

「キラーゼロというのは一人の殺し屋の呼び名ではないのか?」

 古谷が下嶋に質問した。

「はい。サイト上に掲載されている彼らはサイトにも書かれているとおり使い捨てタイプのキラーゼロです。我々の追っているキラーゼロは、繰り返し殺しの依頼を請け負う言わばリサイクルタイプのキラーゼロです」

「使い捨てタイプにリサイクルタイプ。殺し屋だとはわかっていますけど、人をまるで物のように扱っているんですね」

「せやな」

 サイトには意外にもKZプロモーションのオフィスの住所及び電話番号が掲載されていた。

「下嶋さん、ここにオフィスの住所と電話番号が載ってるじゃないですか。この場所に踏み込めば一網打尽じゃないですか?」

「いや、この住所と電話番号はダミーや。ここに書かれている住所はアルカトラズ刑務所、電話番号はつながらん。連絡手段はサイトのフォームからのみや」

「このサイトにユーザー登録してサイトに掲載されている人物と接触してみるってのはどうだ?」

 古谷が提案した。

「いえ、彼らに接触するには何重もの認証が必要になります。そして彼らは殺し屋ですから例え老人であったとしても接触するにはリスクが伴います」

「今の私たちは斎藤征二氏の証言をもとにして動かざるを得ません。バックアップは下嶋君と私で行います。古谷係長、新庄主任、チャーリー君は明日以降準備ができ次第渡米してください」

 仲井戸は古谷、新庄、チャーリーに渡米してケインとキラーゼロの捜査を行う命令を下した。

 古谷、新庄、チャーリーは、三日後の八月二十日月曜日に渡米することとなった。

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