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第10話:コネクション

 征二は古谷との電話を切ると別の連絡先に電話をかけた。

『はい、村野(むらの)です』

『斎藤征二です。村野さん、ごぶさたしております』

 征二の電話の相手は、プライベートジェット機やビジネスジェット機の手配・運行を手がけるムラノエアサービス株式会社の社長、村野秀夫(むらのひでお)だった。

『社葬の際にはお越しいただきありがとうございました』

『いえいえ、住崎様は弊社の上得意様でしたから最後のお別れに参列させていただくのは当然のことですよ。斎藤さんからの私への直接のご連絡、どのようなご用件でしょうか?』

 大吾は生前仕事でムラノエアサービスを介してプライベートジェット機やビジネスジェット機を利用していた。利用の際の手続きは会長秘書の宍倉が行っていた。飛行機を手配するには専門の受付先があり、飛行機を手配するために社長の村野に電話をする必要は無い。

『折り入ってお願いがあります。しばらくボディガードを雇いたいのですが、村野さんのお知り合いにどなたかいらっしゃらないでしょうか?』

 執事の征二であればボディガードを派遣してくれる民間の警護会社の連絡先はいくつも把握している。征二は()()()()()()()()()を雇うために村野に連絡した。

『一般的なボディガードでは力不足ということですか。そうですね……、ボディガードを主な仕事にしていないのですが有能な者がおりますよ』

『本当ですか。その方をご紹介いただけないでしょうか』

『『パンサー』というコードネームで活動していた世界屈指の元傭兵がおります。彼は今横須賀でバーを経営しています』

『そのバーの名前は?』

『『スターライト』と言います。彼には私の方からも連絡を入れておきます。営業時間外の時間帯に来店してください』

『はい。村野さん、愚問だとは思いますが、その男、腕は確かなのでしょうか?』

『ええ。腕は折り紙付きですよ』

『そうですか、ありがとうございます。恩に着ます』

『いえいえ、礼には及びませんよ。斎藤さんから受けた昔の借りはこの程度では返したことになりません。今度久しぶりにお酒でも飲みましょう』

『はい。その時には昔のように征二と呼んでください。兄貴分の村野さんに、さん付けで呼ばれるのは何ともこそばゆいです』

 村野は、征二がかつて極道だった頃の兄貴分にあたり木蔦組の若頭を務めていた。現在は表向きの業務の他に国内外の裏社会の情報収集や、アンダーグラウンドな職業の者の紹介を行っている。

 征二は電話を切ると麗香のいる応接室に戻った。

「麗香様、ボディガードの手配の準備ができました。これから横須賀に向かいます。お疲れのところ申し訳ありませんがご一緒いただきたく願います」

「……わかりました」

 征二は住崎製薬本社からの麗香の足取りを隠すため住崎家お抱えの運転手に高級車ではない大衆車のレンタカーを準備させた。レンタカーが住崎製薬本社の地下駐車場に着くと、麗香と征二は人目を気にしながら乗り込んだ。横須賀へは尾行を警戒して頻繁に道を変えながら向かった。道中の麗香は一言も話さず険しい表情をして車窓から見える街並みを見つめていた。

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