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プロローグ1ー4

部屋に入って、ベッドに座った俺は、さっそく、自分のステータスを見た。


名前 田中太一

種族 人間 (異世界人)

職業 見習い商人

クラスチェンジ可能 (チェンジ可能職1つ)

Lv.10 (Max)


HP 190

MP 190

筋力 65

頑丈 55

魔力 60

速さ 60


スキル (スキルポイント残り18)

鑑定

アイテムボックス

生成



おお〜、と俺は喜びながら、ステータスを確認していく。


まず1つ目、 (商人に)クラスチェンジが可能になっていること。


次に、スキルポイントがあること。 (たぶん、スキルを取得できる方法の1つなんだろう)


最後に、スキル生成を手に入れていること。



ん〜。クラスチェンジは、まだ出来ない理由があるし、スキルポイントのほうも、まだ使う予定はない。


生成。よし。このスキルを使った実験をしようと俺は決めた。


まずは、スキルの説明。


生成

自分のMPを消費 (材料に)して、イメージしたものをつくり出せる。


この説明文で大事なのは、自分のMPとイメージしたもの、この2つだ。


この2つが原因で、このスキルが世界からハズレスキルとされている。


まず、取得出来るのが、見習い商人だけで、スキルポイントでの交換は不可。


次に、下級職業の商人にクラスチェンジすると、このスキルが消えてしまうこと。


最後に、MPが低いと、大きいものや、多くのもの、複雑なものをつくり出すことが出来ず、しかも、イメージしたものイコールある程度知っているものじゃないと、知らない分だけ更にMPを消費されるらしい。


結果、主にこのスキルを使うのが、商人の子ども達で、店の商品をスキルでつくり出して、親に渡す (売る)、お小遣いスキルであるとしか知られていないからだ。…その子ども達も、早い段階で、商人にクラスチェンジして、スキルが消えるのも、原因の1つかな。


だが!ここに200近いMPと、転移前に居た世界のいろんなものを知る俺がこのスキルを使ってみると……


た○の炭○水 (消費MP40)


目の前に出てきたものを、すぐに鑑定して、この結果を知ると、


カチャ (キャップを開けた)

ゴクゴクゴク


「ぷはぁ」


半分くらい一気に飲んで、とても満足している俺。


というか、実験が上手くいって、騒ぎたいくらい喜んでいると…


コンコン

ビクッ


急にノックの音が聞こえてきた。


俺は、少し驚きながら、トビラを開けてみると、俺を案内してくれたメイドとは別のメイドが、1人立っていた。


「夜遅くに申し訳ありません。実は、私の担当しているかたが、あなた様を今すぐに呼んでくるように言われまして…」


「え!今からですか?」


「はい」


よく見ると、メイド本人も困っているみたいだった。


「…わかりました。案内してください。」


まぁ、さっきの実験の成功で、眠気も吹き飛んでいるので、丁度?良かった。


「ありがとうございます」


メイドは、嬉しそうに言って、先導してくれた。



……メイドの後ろを歩いていると、最終的に練習場前に来ていた。


「この先に、あなた様を待っているかたがいます。」


メイドがそう言ったので、俺は、案内ありがとうと言って、1人練習場に向かって行った。


月の光だけでも、よく見える練習場にいた人物は…


「待っていたぞ!」


ああ。やっぱり、え〜と、確か名前は…忘れた。イケメン野郎がそこにいた。


「一体、こんな夜遅くに何の用だ!」


俺は今すぐにでも部屋に帰りたいなと思いながら、一応、理由を聞いてみた。


「今、ここで俺と決闘をしろ!そして、俺が勝ったら、二度と桜さんには、近づくな!」


あ〜、阿保らしい。このまま回れ右して帰りたい…けど、一応、鑑定と反論だけは、しとこうかな、


名前 天城誠一郎

種族 人間 (異世界人)

職業 勇者


Lv.5


HP 550

MP 550

筋力 450

頑丈 450

魔力 450

速さ 450



さすがに、勇者なだけはある。ステータスの数値が高いな。


「誰がそんな一方的な条件の決闘を受けるんだよ、バカかお前は!」


「なっ!」


いや、なに本気で驚いた顔をしているんだよ。まさか、俺が受けると本気で思っていたのか?


「用がそれだけなら、俺は帰る!」


だいたい、今の俺はなにも装備していない状態なんだぞ…いや、それは、俺が注意不足なだけか、次からは、剣だけでも装備していようかな。


俺は、イケメン野郎に背を向けて、自室に帰ろうと歩き始めると、


「ま、待て」


イケメン野郎が走って、俺の近くまで来て、俺の肩を掴んだ。


「離せよ」


俺は足を止めて、鋭くそう言った。


「ビクッ、な、なら俺との決闘を受けろ」


俺の肩から手を離して、今度は、鞘から抜いた剣を向けて、そう言ったイケメン野郎。


「嫌だ!」


俺が、はっきりと否定すると、イケメン野郎は、急に下を向いてブツブツ呟き始めた。


「どうすれば…俺が…助けるんだ…あいつが悪い…本心ではきっと…」


その様子を見て、さっさと帰ろうと決めた、その時、


ブチッ!

「俺が桜さんを救うんだぁぁ」


イケメン野郎が突然剣を振り上げて、俺に向かって、振り下ろした。


まずい!


俺は、全力でバックステップしたが…


ズドォォォォン


練習場内に大きな音が響き渡った。


俺は、剣自体は避けることができたが、圧倒的なステータスの数値の差からなのか、剣圧だけで体が空中に浮かび、そのまま地面を転がるように吹っ飛ばされ、壁に激突した。


ヤバ…い!…体が…動か…ない


地面に、横になった体に、力が入らない。

目の前が徐々に暗くなっていく。


桜……ごめん


薄れていく意識の中で、俺は最後にそう思いながら、意識を失っていった。




〜勇者視点〜


こ、殺してしまったのか


全く動かないやつの体を見て、俺は、焦っていた。


どうしよう


本当だったら、やつと決闘して、俺が勝って、桜さんをやつから解放する予定のはずだったのに…


それもこれも、やつが俺との決闘を断るからだ。


そうだ。やつが悪いんであって、俺は悪くない。


勇者は、1人で自問自答していると、


「どうやら、お困りのようですね」


勇者は声がした方を向くと、


「王女…さん?」


「ふふっ、アテネと呼んでください。勇者様」


微笑みを浮かべた第一王女アテネがそこにいた。


「アテネ…さん」


「はい。勇者様。…コホン、よろしければ、この場は、私に任せて頂けませんか?」


「え?」


「勇者様、あなたは、今夜、練習場には来ていない。部屋で寝ていた。だから、何も知らない。いいですか?」


「え?え?」


「では、誰にも見つからないように、気をつけて部屋までお帰りください」


王女は、自身と同行していたメイドの1人に、勇者を連れて行くように、命令した。


そうして、勇者が練習場から姿を消すと、


「それじゃあ、誰か!そこにあるゴミを…ああ、捨てるのに、丁度良いところがありました。あの部屋に放り込んでおきなさい。」


太一のことをゴミと言い、今度は騎士の1人にそう命令した。


「さて、他の皆さんへの説明は、…朝食のときにでもしましょうか」


今後の対応を決めた王女は、練習場から出ていった。


そして、誰も、太一を運んでいた騎士さえも気付かなかった。


死んだはずの太一の体が、運ばれていた時に、一度、薄く光ったことに。

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