(3)初依頼
名残惜しさが全く無い獣人の隠れ里を離れ、早速初依頼に挑戦中の山田太郎です。
文無しテント無し食料無しでいきなり依頼にでるのは無謀なのでしょうが……全くのモーマンタイです。
食べなくても平気な体と
トヘロス無しでも襲われない圧倒的能力差
そして全てを把握しているライブラ先生。
ね?
「山田様、パフェが食べたいです。そして蚊が鬱陶しいので何とかして下さい」
「ライブラさん、ハンバーガーが食べたいです。あと狼に囲まれているのは何故なんでしょうか?」
……
問題有りまくりな2人をどうにかして下さい。
だって~食べなくてもいいって言ってもお腹は空くんだもん。魔物は逃げても野生動物(虫含む)は寄ってくるし~。
更に先生は体が別になっているのでアドバイスが後手後手になっちゃう上、僕が優柔不断だから対処が遅い遅~い。
……自業自得ですね、わかります。
「先生……狼鍋って食べたら美味し「不味いです!」い……だよね~」
はぁ……
これで良く2千年も一緒にやってこれましたね……僕。
「サッサと無双するか結界張るか何とかして下さい。私は寝ます」
ライブラさん……自分だけ空間結界張って寝るのはどうかと思うのですが……
~…~…
翌朝。
おはようございます!
山田太郎は今朝も元気です!
え?狼?
勿論、無双しましたよ?
ムツゴローさん張りに『ヨゥシィ!ヨゥシィ!』してテイムし(手懐け)ました。
野生の狼(テイムした時点で犬っていう……)253匹ゲットだぜ!
そして野生の蚊13586匹ゲットだぜ!
何の役に立つのかって?
知らんがな、そんなの。
そのうち役に立つ事を猫以外の神に祈りつつ、爽やかな朝の日差しの中で採取!採取!
集めるのは薬草と毒消し草とマナ草。
正式名称は知りません。
いやね、本当は大層な名前が付いてるのよ?
でも、勇者達が『これ○○っぽいから今日から○○って呼ぼう!』ってな感じで色々ね、そういろんなところでこれと似たような事がね……
マジ勇者迷惑。
最初にこの世界創った神さんにほんと同情するよ、マジで。
てな訳で、『傷を直し多少体力を回復する草』と『毒などの状態異常を多少回復する草』と『魔素を過剰に含み魔力を多少回復する草』を探している訳です。
学名(的な物)を『』で表したんだけど、それを当時の世界の言葉にしたのが本来の呼び名。
現在、誰も使って無いからもうどうでもいいや!って事で探します。
……
うん、無いっす!
気持ちいいくらい無いっすわ!
薬草類を一番使う獣人さん(脳筋)達、なんでもっと懸命に探してなかったの?
これ、需要と供給のバランスがとれて無いよね?
まあ、一番の原因はアホ共が無駄に高性能なマジックアイテムをバカスカ供給しまくったのが原因なんでしょうが……
マジ勇者ムカつく!
猫が放り出すのも納得なくらいの面倒さ!
何をどうしたらいいか考えるだけで世界の破滅まで時間が経っちゃうよ、ほんと。
いっそのこと魔王に手を貸して滅ぼしてから作り直せば……
は!
……
その手があったか……
これは魔王を探して出して……
「くだらない事考える暇があったら探して下さい。蹴りますよ?」
「いや、だから……蹴ってから……痛い!痛い痛い!本気で蹴らないで!
わかったから!
探します!探しますよ、探せばいいんでしょ!はい!」
せっかくの気持ちのいい朝が、更に清々しい朝になってしまいました……
僕、本当に末期みたいです……
誰か助けてください……
それはさておき人属の領内に入った瞬間、大量の薬草類が生えてるんですが……
どんだけ魔道具に依存してるの?
ったく……リソースの無駄使いばっかりしてからに……
とりあえず依頼票にあった規定数は軽く超えたので、ライブラさんの知識を使って薬を【調合】してお金を稼ごうと思います。
調合できるかはさておき、チート魔道具があるこの世界で製薬が儲かるのか?
はい、儲かります。
無駄に高性能な道具に頼った人が大量にいる社会。その供給源たる勇者が極端に減って来ている昨今。道具のエネルギー源も加速度的に減ってる状況。
これって同じ効果の物(薬)が安価で手に入れば必ず売れますよね?
てかそもそも、なんでお金を稼ぐ(創造で作らない)のか分からない?って思ったキミ!
鋭いね~
それはね~お金というシステム。実は結構リソースを消費するんですよ~
何故かって?
それは『お金』は悪魔が人間にもたらしたシステムだからなんです、はい。
え?悪魔がリソース(神の力)に関係あるのかって?
いや~悪魔って元々堕天使や異教の神だったりするのよ?
素が同じなのよ。
てな訳で。
その世界のお金は、その世界で回すのが一番理にかなってるってことなのさ。
凡人が良くそんなこと知ってな!だって?
んなの全部ライブラ先生の受け売りに決まってるじゃないですか~(威張るな)。
「ブツブツ言いながら(気持ち悪い……)調合しているところ申し訳ございませんが……。どちらのギルドに卸されるのでしょうか?(さっさと次の目的地を決めなさい)」
「ライブラさん、通常運転(毒&S)ありがとうございます。
勿論、次は学校メインなので偏差値75の学園がある魔法先進国アメジストに行こうと思います」
「決めていらっしゃったのですね(いつの間に調べて……)」
「いや……ライブラさん?
AIシステムは先生そのものだから再現は無理としても、データは僕の頭にも入っているんですよ?」
「…………」
「多少……いや、かなり覚束無いとはいえマップ検索やワード検索位可能ですよ?」
「山田様……2千年経って、まだその程度ですか……」
「酷くない?!星の数ほどあるデータから検索エンジン無しに調べるの大変なんだよ?!」
「私は毎睡眠時に、宇宙の数分あるそのデータを手動でアップグレードして最新データを使えるようにしているんですが?(神の能力を持つ意味あるんですか?凡人……)」
「し……辛辣~!そこに惹かれる、憧れる~」
「氏ね」
「ふべら!!」
その日から山田は日課に転生者必須のマップ検索とデータ検索を付け加えられました。
え?日課なんてあったのか?
ありますよ~
魔法の基礎訓練と武器・格闘による戦闘訓練でしょ。あと創造による様々な物(消耗品)のストックづくり。
寝る前の1分間(内容は5時間)欠かさずね♪